2019年1月号 主な内容

特集 農水・環境省の食リ合同会合 制度のあり方(案)まとまる 食品ロス削減目標設定
農水省・環境省の食品リサイクル合同会合が昨年12月17日に開催され、合同会合のまとめにあたる「今後の食品リサイクル制度のあり方について」(案)が事務局より提示された。ポイントは食品廃棄物の発生抑制・再生利用等を推進するための具体的施策になる。国は事業系食品ロスの削減目標設定とあわせて、家庭系食品ロスの削減目標実現のための計画を取りまとめるとしている。制度のあり方(案)は12月26日にパブリックコメントに出された。
制度のあり方(案)では、食品ロスは食品関連事業者から毎年300万トン発生していると推計される。食品ロスの削減は食品廃棄物の発生抑制につながり、GDGsのターゲットのひとつとされていることから、食リ法に基づく取組みにおいて、そのための措置を優先的に講じていく必要がある、と力を込める。「再生利用率」や「リサイクル施設の減少」「定期報告の推進「適正処理の徹底」など様々な課題について事務局が説明した。
事務局の説明に関して全清連の山田委員はダイコー事件に鑑み「排出事業者責任の徹底についての指導はどうなっているのか」と質問。
また石川委員(神戸大学教授)は、指導権限が及ばない第三者が介在することについて「廃掃法全体についてコメントしたい」と次のように語った。「第三者、いわゆるコンサルですね。排出者責任の徹底はその通り。そして小規模食品事業者がリサイクルを進めるのは困難ということで議論してきた。廃掃法と食リ法の正しい知識をもって運用してもらうということだが、小規模事業者にそれを求めるのはどうか。大規模事業者なら本社機能があるから可能だろうが。現実的に(小規模事業者に)そこまで求めるのは無理かなと。山田委員が言ったように、規制が及ばないとなると悪い方向に行く。今後考えてほしい。排出事業者責任の徹底はそうなんだが、出来ないことを要求しているのではないか。専門知識を出してアドバイスするという人を廃掃法の中で認知するというのが私の意見です」。
この意見に山田委員も賛同。「会計士は我々をサポートするということで(仕事を)やっている。しかし(廃棄物の)管理会社はすべて任せてくれと。なぜ廃棄物の分野だけどんどん(管理会社が)入ってくるのか。(小規模排出事業者を)サポートしてやるのは大切なこと。廃掃法の中に組み込んで責任ある立場でやることも考えてもいいのでは」と述べた。
合同部会の主眼テーマである「事業系食品ロス削減目標設定」については、考え方を示した。①過去の取組みを評価すること。②第4次循環基本計画において、家庭系は2000年度比半減目標を掲げたことを踏まえ……

◆総合政策 ‐総合政策部会で議論 難しい地域循環圏の具現化 試行錯誤の状態つづく‐ 中央環境審議会総合政策部会(部会長・武内和彦東京大学特任教授)は昨12月25日部会を開催し、第五次環境基本計画(昨年4月17日に閣議決定)の進ちょく状況に関するヒアリングを行うとともに、環境基本計画で提唱した「地域循環共生圏」の具現化について議論した。地域循環圏は環境基本計画の大きな目玉だが、何をどのようにしたらいいのか、具体的な姿はいまだ見えていないのが現実だ。委員の中からは「言葉だけが独り歩きしている」との辛辣な言葉も聞かれるのだが……。

◆自治体 ‐東京都廃棄物審議会 プラ中間まとめ(案)を審議 パブコメのちに再度検討‐ 東京都の廃棄物審議会(委員長・安井至持続性推進機構理事長)は1月8日開催し、先般、プラスチック部会で取りまとめられた「中間まとめ(素案)」を審議した。部会での「中間まとめ(素案)」は一部の委員から焼却の扱いなど数カ所について書きぶり(表現)に問題があるとの指摘があったが、時間的制約もあり調整がつかず廃棄物審議会の場で審議することになった。が、今回開催された審議会でもまとまらず、一部修文してパブリックコメントにかけた後に再度審議することになった。

◆匿名インタビュー ‐古紙、大波乱の幕開け 段古紙輸出価格が大下落 3月からがどうなるか‐ 古紙価格が大荒れになっている。「ジェットコースターのようだ」と古紙関係者が言っていたが、まさにその通り。12月中旬頃には32円もしていた段古紙輸出価格は、同月下旬に値下がりし、1月に入っても下落。半値にまでなってしまった。中国の春節が明けるまでは価格の上昇は望めない――というのが古紙関係者の一致した見方のようだ。が、春節後に中国の買いが戻り価格が上昇していくのか、これは誰にもわからない。またさらに数年先は古紙問屋の今の状況も変わってくると見ている関係者が少なからずいる。古紙関係者に話を聞いた。

◆ズームイン ‐事業系一廃処理業界35 焼却の方向へ行く「弁ガラ」 23区、2020年早期に実施‐ 東京23区の「弁ガラ」について。弁ガラとはスーパーなどで販売している弁当を食べた後のプラスチック空容器のことをいうが、23区の場合、事業所から排出される弁ガラは事業系一般廃棄物として処理されている。許可業者が収集した弁ガラは中防内側 (中央防波堤内側)にある23区一部事務組合(23区一組)の施設に持込まれ、破砕されたのち埋め立てされているが、近く処理方法が変わる。2020年の早い時期に破砕したのちに「焼却処理」する方針だ。焼却に切り替わるとはいえ、前処理としての破砕は続けるわけで、可燃ごみと弁ガラを一緒に焼却工場に搬入したいと希望していた許可業者にとってメリットはない。

◆方向性 ‐資源化に向う産廃業界⑦ 産廃の上場企業も出てきた ダイナミックな展開に‐ この項は3カ月ほど間が空いてしまった。以前、産廃施設の「特例」のことを書いた。市町村が物理的に処理が困難な一般廃棄物を、同じ性質の廃棄物であれば産廃業者に委託すれば、特例として一般廃棄物の許可がなくても処理できるというものだ。これを読者の一人から「それならびんでも何でも産廃処理施設で処理できるじゃないか」という指摘を受けたので、話がここに行ってしまった。特別な場合以外この特例は認められない。その説明に誌面を費やしてしまったので間が空いた。この項は産廃業界が資源化に向かっているということから始まり、その産廃業界は廃棄物の区分の変更を求めているのか、というところまできたわけだが、そろそろクローズしたい。

◆時の話題 ‐一般廃棄物処理の新機軸➈ 政令都市の次は中核市に 処理業者の交流に広がりも‐ 12月号で各政令都市の一般廃棄物処理業者が集まり交流(会議を)する可能性があるということを書いた。地方自治法で規定された人口50万人以上の政令都市は現在20市となっている。このうち5都市は年に1回集まって「政令都市交流会議」を開いているのだが、他の政令都市にも参加を募り交流会議を広げていこうというものだ。ある程度の政令都市が参加し、形ができたら次は「中核市」に入ってもらうという計画もある。ブロック割も必要か。全国的に業者が集まり、共通課題について掘り下げていく。良い取組みがあれば、取り入れればいい。今までにない世界も見えてくるのでは。

◆読者からの声 変化する時代の中で、中小業者はどうすればいいかという問い合わせ。

◆新年賀詞交歓会 関東製紙原料直納商組・車間距離の維持と品質向上/古紙再生促進センター・2つの課題克服に向けて

◆表彰式 ‐全清連など18団体116自治体 平成30年度災害支援環境大臣表彰‐ 環境省は昨年12月19日、平成30年7月豪雨、北海道胆振東部地震、台風21号などの被災地域に対し、災害廃棄物処理や被災ペット対策、アスベスト対策などのために人的、物的協力等の支援活動を行った団体および自治体に対して、その活動をたたえ、社会に広く知らせるため環境大臣から表彰状を授与した。災害廃棄物関係で表彰状を授与されたのは(一社)全国清掃事業連合会(全清連・三井崇裕会長)をはじめ18団体と116自治体。

◆データ ‐平成28年度の産廃排出量及び平成29年度の不法投棄の状況‐ 環境省はこのほど平成28年度の全国の産業廃棄物の排出量及び処理状況の調査結果を公表した。総排出量は前年度に比べ約415万トン減、率にして1.1%の減少となった。また同時に平成29年度における新たに判明した不法投棄等事案の状況、年度末時点の不法投棄等事案の残存量も公表した。不法投棄の新規判明件数は、ピーク時の平成10年代前半に比べて大幅に減少している。

◆廃プラ輸出 11月輸出は8.3万t 、月間10万t以下つづく。

◆情報ファイル 海洋プラ問題対策アライアンスを設立

◆リサイクルマーケット
鉄くず:輸出価格さらに下落、底入れ見方も不透明
古 紙:中国引き合い急減で段古紙輸出が半値に
故繊維:マレーシア焦点だがごみ禁輸の影響懸念
空容器:廃プラ処理窮屈な中でPETは流れている
カレット:プラスチック問題はびん復活最後の好機
ニュース:廃家電4品目の不法投棄29年度13%減 ほか

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