2019年2月号 主な内容

特集 再生資源の輸出動向 中国の動きが多大な影響 廃プラの中国市場は潰えた
2018年の再生資源の輸出量が財務省発表の通関統計で明らかになった。「鉄スクラップ」「古紙」「廃プラ」の過去3年間の輸出量推移を月別にグラフ化してみた。いずれの再生資源も中国の固形廃棄物輸入規制の影響を多分に受けている。鉄スクラップは中国向け「雑品」が減少してきた。古紙は激しく乱高下している。もっとも影響が出たのは廃プラで、中国マーケットは完全に潰えた格好だ。還流してきた廃プラによって国内は処理がおぼつかなくなっている。
2018年に日本から輸出された鉄スクラップの量は740万トンで、前年比約80万トンの減少となった。中国の減少が大きかった。中国の禁輸により「雑品」の輸出量が大きく後退した。2017年に中国に向けられた雑品は162万トンとなっているが、2018年には90万トンと72万トンもの減少をみている。2018年12月31日からは雑線、廃モーターなど16品目が、2019年12月31日からはステンレススクラップなど16品目が輸入禁止品目として追加されるといわれており、中国向け後退局面はさらに続きそう。
再生資源の中国向けということに限って言うと、廃プラが最も量を減らした。もはや中国市場は閉鎖されたと捉えた方が良い。2018年の廃プラ輸出の総量は約101万トンだった。2017年比で42万トン程度の減少となったが、その中で中国への輸出量は4.6万トンにすぎなかった。2017年には74万トンも出されていたが、それの1割にも満たない。中国以外のルートとして「ベトナム」「タイ」「マレーシア」などの東南アジア、それと東アジアの韓国などが量を増やしている。しかしそれも限定的と言わざるを得ない。これらの国への2018年の輸出量は、ベトナムが……

◆環境施策 ‐全国環境担当部局長会議 プラ資源循環戦略など説明 自治体に対応や協力求める‐ 環境省による「全国都道府県及び政令指定都市等環境担当部局長会議」が、1月25日霞が関の中央合同庁舎で開催された。この会議は地球環境、水・大気など環境に関する国の施策の状況や方針などを各局が説明し、自治体に対応や協力などを求めるもの。「環境再生・資源循環局」の説明は約40分間。「循環型社会形成の推進」「循環産業の国際的支援」「リサイクルの推進」「一般廃棄物の適正処理・3Rの推進」「産業廃棄物処理」「東日本大震災対策」などと、今回は「プラスチック資源循環戦略」も増え、それぞれの担当者が駆け足で説明を行った。

◆食リ法 ‐食リ法の基本方針案 事業系食品ロス、半分に削減 2030年度の目標値‐ 環境省と農水省の食品リサイクル制度合同会合が2月7日に開催された。今回は事務局より「食品リサイクル法の基本方針改正案」が示された。大きなテーマである「食品ロス削減目標」については、事業系食品ロスについて半減という目標を提示したことが大きい。また、ここにきては食品リサイクルを実施する登録再生利用事業者が、水質汚濁防止法の疑いで逮捕されるなどの事案が発生したこともあり、排出事業者責任を含めた適正処理の徹底がより一層強化されることになりそうだ。

◆時の話題 ‐一般廃棄物処理の新機軸⑩ 原資確保しないと人もこない 行先を見据えているのか‐ この項は一般廃棄物処理料金を単一料金にしたらどうか、ということからスタートした。単一料金にすれば価格競争(ダンピング競争)は起きない。質の競争、サービスの競争になってくる。単一料金の導入は全く不可能とはいえない。こう書き進むうちに市町村の処理料金設定のこととか、政令都市の一廃業者が集まり交流会議をする可能性があるといったことなどに話が行った。これは全くの脱線ではなくすべて関連性があることではないか。この人不足の時代だ。処理業者は原資をしっかり確保しないと雇用もできない。原資を確保できるのか。一廃業界の先行きを見据えると、いまの状況を考えざるを得ない。

◆オブジェクション ‐千葉市が10月から本格実施 びん・缶の専ら物を産廃に 一廃業界に大きなダメージ‐ 千葉市は、これまで事業所などから排出される「びん・かん」を、専ら物として扱ってきたが、これを産業廃棄物に切り替える。変更は今年9月末までを是正期間とし、本格実施は10月1日からの予定だ。一般廃棄物処理業者は事業系のびん・缶を専ら物として取り扱ってきた。産廃に切り替わることで新たに車両の維持、マニフェストの発行等々が発生し、コストや事務処理が増大する。そればかりか業者の中には対応が困難なため死活問題に直面するところも。業者は大きなダメージを受ける。もちろん、排出事業者もこれまでとは料金体系が違ってくるし、マニフェストの保管も必要だ。コストを含めて負担が増加する。

◆シンポジウム ‐経済性確保した一貫システム バイオマス産業都市の推進 地域のバイオマス産業軸に‐ 日本有機資源協会は2月5日午後1時より江戸川区のタワーホール船堀で「バイオマス産業都市推進シンポジウム」を開催した。バイオマス産業都市とは、経済性を確保してバイオマス産業を軸とした災害に強いまちづくりを目指すというもの。国も積極的に取り組んでおり、7府省でバイオマス産業都市の選定を行っており、平成25年からこれまで84市町村が認定されている。当日は、事例報告のほか、民間シンクタンクからバイオマス事業の分析の講演があり、参加者は熱心に聞き入っていた。

◆シンポジウム ‐エコタウンを発展させて 地域循環共生圏の形成へ 地域でのSDGsの実現‐ 環境省主催のシンポジウム「資源循環から考える地域でのSDGsの実現―エコタウンから地域循環共生圏へ―」は2月13日午後1時から東京駅八重洲カンファレンスセンターを会場に開催。平成17年までに26地域が承認されている「エコタウン」。これを発展させて地域循環共生圏、地域のSDGsにつなげていこうということだ。講演のほか地域の取組み紹介、パネルディスカッションなど行われた。

◆ズームイン ‐事業系一廃処理業界36 23区「弁ガラ」は厄介な代物 事業系廃プラのリサイクル‐ 東京23区の事業系弁ガラの処理方法が変更されることを先月号で書いた。「破砕」⇒「埋立て」から、「破砕」⇒「焼却」となるわけだが、一廃許可業者にメリットはない。業者は今まで通り弁ガラを破砕施設に持込むことになる。こうした中で、東京都はいま、プラスチック施策を打ち出そうとしている。1月8日の都廃棄物審議会で「プラスチックの持続可能な利用に向けた施策のあり方(中間のまとめ)」が整理され、パブコメにかけられている。その中の一部に「事業系廃プラスチックのリサイクル」がある。弁ガラはどうなるのか。

◆フォーラム ‐東リ協会がフォーラム 東京都のプラスチック対策 集団回収団体の表彰も‐ (公社)東京都リサイクル事業協会(東リ協会・栗原正雄理事長)は2月12日午後4時半より千代田区飯田橋のホテルメトロポリタンエドモントにおいて、「プラスチック対策講演会」ならびに「集団回収・資源リサイクル団体表彰」のフォーラムを開催した。講演は東京都環境局の古澤康夫リサイクル専門課長による「東京都のプラスチックの持続可能な利用施策動向」。集団回収団体などの表彰式のあとに開かれた懇親会(陽春のつどい)では、国会議員や都議会議員、幅広い分野のリサイクル事業者らが参加し、和やかなつどいとなった。

◆新年賀詞交歓会 東京廃棄物事業協組・環境都市東京をアピール/東京都資源回収事業協組・環境考える上で大事な仕事

◆表彰式 ‐食品もったいない大賞 農水大臣賞に伊万里はちがめプラン 食資源循環による温暖化防止‐ 「食品産業もったいない大賞」の表彰式・事例発表会が1月29日、千代田区の内幸町ホールで開催された。第6回となる今大賞では、農林水産大臣賞に特定非営利活動法人「伊万里はちがめプラン」が選ばれた。また農水省食料産業局長賞3件、審査委員会委員長賞6件の計10件が表彰された。

◆廃プラ輸出 12月輸出は8.2万t 、2018年は101万tに。

◆リサイクルマーケット 鉄くず:輸出値が上昇。ヴァーレ事故の影響も
古 紙:段古紙輸出停滞、低価格長期化の声も
故繊維:市場の行方を左右するマレーシア爆弾
空容器:プラ袋から紙袋へ容器の移行が起きている
カレット:びんの生産・出荷減も1~2年で好転か
ニュース:プラ・スマートCP1月末で176団体登録 ほか

1月号 主な内容

 

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