2019年3月号 主な内容

特集 広陽サービス㈱ 新木場リサイクルセンター竣工 人員の省力化と処理量アップ
廃棄物処理やリサイクル事業を積極的に展開している広陽サービス㈱(東京都江東区辰巳・尾崎泰裕社長)は、かねてより建設を進めていた「新木場リサイクルセンター」(東京都江東区新木場4-5-21)がこのほど竣工、2月1日から業務を開始した。同リサイクルセンターは「廃プラスチックの選別リサイクル施設」だが、特徴的なのは機械設備による自動化を進め、作業人員の省力化と処理量のアップを実現したこと。人手不足の昨今にあって、今後の施設のあり方を示しているといえる。
新木場リサイクルセンターは敷地600坪の中に、工場・事務所建屋が300坪。廃プラを主体とする事業系の不燃ごみを選別し、プラ袋など「軟質プラ」を取り出しリサイクルしていく。選別をより自動化することで、作業効率を格段に上げた。処理工程は、まず最初に不燃ごみが入ったプラ袋を重機でつかんで「破袋機」に投入する。破袋機は回転刃が正転と逆転を繰り返しながらその名の通り袋を破いていく。破袋機によって破られたプラ袋は、この段階で軟質プラスチックとして、大型掃除機のような吸引式の「フィルムバック」に吸い込まれ、自動的にラインの最終工程まで運ばれ、そこで自動的にフィルムで巻かれて梱包される。破袋機の脇には上からフィルムバックの朝顔のような形をした管が下がっており、作業員が破れた袋を手にしてこの管に少し近づけただけで、袋は瞬時に吸い込まれた。吸い込んだあとは50m以上先の梱包機まで運ばなくてはならないから、これはもう凄まじい吸引力だ。「破袋機」「フィルムバック」「ロールスクリーン」「高性能風力選別装置」。こうした機械を組み合わせ、そこに不燃物を通すことで軟質プラを効率的に選別する。圧縮機で軟質プラの製品をつくる場合の時間は17分に1個の割合。1つあたりの重量はおよそ350㎏。出来上がった製品は重油などに代わる燃料として使用するところに向けられている。

◆プラ対策 ‐パブコメの意見をもとに プラ戦略(案)を再度議論 小委員会終了し中環審へ‐ プラスチック資源循環戦略小委員会(委員長・酒井伸一京都大学環境科学センター教授)の第5回会合は、昨年11月に策定した「戦略(案)」に対するパブリックコメント(パブコメ)に寄せられた意見をもとに、文言を一部修正・追加をした「戦略(案)」を再度検討する形で議論した。「海洋性分解プラ」「熱回収」「PETボトル」やマイルストーンの目標数値の「基準年」などが論点となった。「戦略(案)」は、委員からの意見をもとに調整し、中央環境審議会へ答申されることになる。

◆災害廃棄物 ‐環境省の災廃対策検討会 処理計画策定率向上が課題 策定必要性の気づきが重要‐ 環境省の「災害廃棄物対策推進検討会」(座長・酒井伸一京都大学環境科学センター長)の平成30年度第2回会合が3月11日開催された。2つのWG(ワーキンググループ)での検討状況報告や近年の自然災害における災害廃棄物対策、災害廃棄物処理計画の策定状況及び策定率向上に向けた取組み、環境本省・地方環境事務所の取組みなどが議論されたが、一番の課題は災害廃棄物処理計画策定率の低さ。とくに小規模市町村が目立って低い。委員のひとりからは、なぜ計画の策定が必要なのかという「気づかせる」ことが重要なのではないかとの指摘もあった。

◆一廃業界 ‐全日本一廃収集運搬協組 廃棄物処理動向の研修会 環境省を講師に迎え講演‐ 一般廃棄物の収集運搬業者の団体である全日本一般廃棄物収集運搬協同組合(全廃協・十河宏行理事長)は3月12日、衆議院議員会館会議室において環境省環境再生・資源循環局廃棄物適正処理推進課の工藤喜史課長補佐を講師に迎え研修会を開催した。工藤課長補佐は最近の廃棄物の行政の動向について講演。環境基本計画や一般廃棄物の適正処理、プラスチックの問題、災害廃棄物など幅広く廃棄物問題に触れた。研修会には排出事業者や市町村担当者、廃棄物処理業者、リサイクル業者など100名を超える関係者が参加した。

◆ズームイン ‐事業系一廃処理業界37 プラスチック全体に変化が 弁ガラも巻き込まれる‐ 東京都の廃棄物審議会に上げられた「プラスチックの持続可能な利用に向けた施策のあり方(中間のまとめ)」は、まだ施策の具体的部分は固まっていない。パブリックコメントを踏まえて議論は再開されるが、それでも具体性に欠けるものになるのではないか。というのも、都のプラ施策は国が進めるプラスチック資源循環戦略の動きを横目に見ながら固めていくからだ。といっても東京都としてはその施策に、首都東京としての独自性を出さなければ意味がない。弁ガラを含めて事業系廃プラへの取組みが変わっていくことも。

◆容リ落札 ‐平成31年度容リ落札結果 PETボトルの有償分㎏41円 プラはコークス炉40円切る‐ 日本容器包装リサイクル協会(容リ協会)はこのほど、平成31年度の各素材別・手法別の落札単価等を公表した。PETボトルは上期の数字だが、平均落札単価は有償・逆有償を含めると前年上期に比べ㎏あたり約2.6円値上がりして約34円に。有償分だけだと8円ほどの上昇をみて41円という価格になった。また、プラスチック容器包装はケミカルリサイクル手法のひとつ「コークス炉原料化」の単価が㎏40円を切った。前年度よりも㎏あたり約8円安い39.5円で札を入れ、21万7000トン、前年度比5万4000トン近い量を獲得した。

◆オブジェクション ‐千葉市のびん・缶の取扱い 専ら物を産廃に切り替え マイナス面しか見えない‐ 前月号で千葉市が事業所などから排出される「びん・缶」について、これまで専ら物として扱っていたものを、本年10月1日より産業廃棄物に切り替える方針であることを書いた。市は平成12年に事業所から排出されるびん・缶を、事業系一般廃棄物で「専ら品」とする考え方を整理し、示している。ところが今回の方針では、処理業の許可を有する処理業者が許可の範囲外として専ら物を扱うことは認めないとする、真逆な解釈を一廃・産廃の処理業者に通知している。白だったものを黒とする―。こうした市の変節と思えるような施策は、排出事業者や一般処理業者にとってはマイナス面しか見えてこない。

◆読者からの声 廃プラも段ボールもひどい。何かいいことないか? という愚痴ともいえる業者からの声。

◆時の話題 ‐一般廃棄物処理の新機軸⑪ 「個」から「組織」への移行 生き残っていくために‐ 一般廃棄物は市町村の固有事務ということもあって、処理方法が市町村によって異なる。たとえば千葉市のように事業系一廃で専ら物として扱っていた「びん・缶」を産廃に切り替えるというところもあれば、びん・缶はとうの昔から産廃という市町村もある。また焼却施設への持込みは、レシート1枚入っていても資源ごみだからダメだという市町村もある。そのうえ悪質な管理会社の介在によって処理業者の料金がピンハネされるケースが多い。全国の一廃処理業者はそれぞれに違いがあるわけだが、抱える問題が共通する部分もある。人口減・少子化・高齢化・人手不足・デジタル化の進展……早いスピードで時代が変わっていく。一廃業界が生き残っていくには「個」から「組織」へ向かわざるを得ないのではないか。

◆表彰式 ‐日本ガラスびん協会主催 第15回ガラスびんアワード 最優秀賞に「い・ろ・は・す」‐ 日本ガラスびん協会(会長・斎藤信雄東洋ガラス相談役)は3月13日、千代田区の如水会館において「第15回ガラスびんアワード授賞式」を開催した。審査委員長を務めるリリー・フランキー氏、フリーアナウンサーの富永美樹氏らの出席のもと開催された授賞式では優秀賞に日本コカ・コーラ㈱の「い・ろ・は・す グラススパーリングウォーター」を選出したほか、優秀賞や機能・環境省など受賞8商品が紹介された。

◆データ ‐市町村の容器包装分別収集量 平成29年度は274万トン 微減の状態が続きそう‐ 平成29年度の容器包装関係の市町村分別収集実績などがまとまり、このほど環境省から発表された。分別収集量は約274万トンで前年度比2万トンの減少となった。

◆廃プラ輸出 1月輸出は5.4万t 、減少はまだ「底」ではない。

◆情報ファイル 環境省が公募 化石由来のプラの代替素材

◆リサイクルマーケット
鉄くず:上昇基調を維持、国内需要が押し上げる
古 紙:問屋仕入れ値下がり、低価格長期化の公算
故繊維:古着のネット販売を奨励する自治体の愚
容 器:アワードで目にしたガラスびんの可能性
カレット:平成31年度のびん落札、㎏0.5円の上昇
ニュース:CO2型資源化設備技術実証事業募集 ほか

2月号 主な内容

 

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