2019年4月号 主な内容

特集 施行から5年が経過 小電リ法の見直しはじまる 状況変化し新たな課題も
小型家電リサイクル法の施行から5年を経過したことから経済産業省と環境省の合同部会は、見直しに向けた議論を開始した。小電リ法では回収量の目標を平成30年度までに年間14万トンとしていたが、施行状況をみる限り目標達成は困難。また、市町村についてみると人口規模が大きくなるほど1人あたりの回収量が減少する傾向があるなどのほか、リサイクル認定事業者のプラントでは小電に内蔵されている電池による火災も増えている。さらに廃プラの処理をどうするか、コスト問題などいくつもの課題が出てきた。5年を経過して状況が変化している。
小電リ法施行の状況としては、回収量が目標に届きそうもないことが判明。小電リ法では回収量の目標を平成30年度までに年間14万トンとしていたが、平成29年度実績では7万8310トン(市町村回収5万5000トン、小売店等からの直接回収2万3000トン)と、目標の56%にとどまっている状態だ。この目標について委員からは「もう少し整理して再構築すべき」(大和田委員・早稲田大学理工学部教授)とか、あるいは「この流れでは14万トンは難しい。14万トン(という数字)だけではなく、最終処分の量がどれだけ減っているのかを見るほうがいい」(斉藤委員・VALUENEX㈱)、「目標設定の再考を」(大熊委員・全都清)といった多くの意見が聞かれ……

◆食リ法 ‐食リ法制度合同会合 事業系の食品ロス半減に 基本方針で新たに目標設定‐ 農水省と環境省の委員による食品リサイクル法制度に関する合同会合が4月4日に開催された。食リ法の基本方針(案)に対して実施したパブリックコメントの結果報告や、基本方針改正(案)などが議論された。今回の改正の大きなポイントは「食品ロス削減」。第4次循環基本計画において、家庭から発生する食品ロス削減目標は2000年度比で2030年度までに半減すると設定されたが、今回の食リ法制度の改正でもこれに合わせる形で、事業系の食品ロス削減について2030年度を目標年次として2000年度比で半減とする目標を新たに設定した。

◆自治体 ‐東京都廃棄物審議会 プラ施策のあり方を中間答申 最終答申に向けさらに議論‐ 東京都の廃棄物審議会(委員長・安井至持続性推進機構理事長)は4月17日の会合で、「プラスチックの持続可能な利用に向けた施策のあり方について」(中間答申案)を了承し、東京都の吉村環境局長に答申した。このあと中間答申は今年8~9月の最終答申に向けてさらに議論を重ねる。国は6月開催のG20でプラ資源循環戦略を発信する。現時点ではそれに向けて準備をしているところだろう。何が飛び出すのかわからない。都のプラスチック施策は国の動きを横目で見ながら進めていくので、最終に至るまでは少し時間を要する。

◆容リ落札 ‐平成31年度容リ落札確定 ケミカル平均落札単価㎏40円 プラの落札業者6年で半減‐ 平成31年度の容リ協制度による落札結果の「確報」が容リ協会から公表された。先に公表があった「速報」と比べると、ガラスびん、PETボトル、紙製容器包装の落札単価・落札量は変らなかったが、プラ容器包装にやや修正があった。平均落札単価は材料リサイクルが前年度比やや上昇し56.4円に、ケミカルは低下して㎏40円となった。落札量は材料リサイクルが3000トンほど減った。また、プラ容器包装の落札・契約社数は34社と、ここ6年ほどで半分近くにまで激減している。

◆視 点 ‐この業界は今後どうなる 成長から次の展開へ向かう 人口減、高齢化、人手不足‐ 人口が減り続けている。総務省が4月12日に発表した2018年10月1日時点の人口推計によると、総人口(外国人含む)は17年の同じ時期に比べて26万3000人少ない1億2644万3000人だった。減少は8年連続で、減少率は0.21%。統計を取りはじめた1950年以来、最大となった。一言で人口減といっても、少子高齢化という人口構成が以前と大きく変化している。これが人手不足を生み、働き方改革、外国人労働者の受入れという動きにつながっている。日本は成長期から成熟期を迎えようとしている。こうした中で、ごみ処理・リサイクル業界はどうなっていくのか。数回にわたり書き進んで行きたい。

◆時の話題‐ 一般廃棄物処理の新機軸12 組織化して可能性を広げる 業界の将来を見据えて‐ 一廃業界が生き残っていくには「個」から「組織」へ向かわざるを得ないのではないか――。こうしたことを先月号でかいたわけだが、実はどういうわけか西方面の人と、東のほうの人が同じようなことを考えていることに出くわした。ただ、業種が少し異なる。西方面の人は一廃処理業者。東のほうの人は資源回収業者だ。まあ、同じような考えといっても違いはある。それでも何か根っこは似通っている気がする。「なるほど」と思わせる部分がある。少し脱線するかもしれないが、今回はこの資源回収業者の考え方を取り上げてみたい。

◆ズームイン ‐事業系一般廃棄物業界39 弁ガラの素材が変わるか 都プラ対策は事業系も視野‐ 国のプラスチック資源循環戦略の状況を横目で見つつ、東京都は「プラスチックの持続可能な利用に向けた施策」をまとめていく。国が右を行くと言うのに、東京都が左を目指すとは言えない。やはり国の施策がこの場合「土台」になる。だからといって国の方針をそのままなぞるようでは、メガ都市の存在意義は薄れる。6月のG20開催を視野に、プラスチック問題に沸き返っている感もあるが、そのひとつとして事業系廃棄物である「弁ガラ」に、取扱いの変化が出てくるのだろうか。都のプラ審議会は事業系プラも視野に置いているのだが。

◆報告書 ‐古紙再生促進センター 減少に向かう古紙回収量 リサイクルの紙リサイクル調査‐ (公財)古紙再生促進センターはこのほど「平成30年度自治体紙リサイクル施策調査」報告書を作成した。行政回収での雑誌と雑がみの回収、集団回収について、啓発資料と禁忌品、在日外国人向けの啓発資料、中国の資源物輸入規制などについてアンケート結果をもとに整理している。また今回の報告書には、平成20年度~30年度の経年比較も掲載している。なかでも一人あたりの古紙回収量の減少が目を引く。

◆オブジェクション ‐びん・缶だけではない 産廃の中間処分施設にも 過剰と思える千葉市の指導‐ これまで専ら物として扱っていた「びん・缶」を産業廃棄物に移行する。千葉市の施策は排出事業者にとっても処理業者にとっても、あらゆる面で負担増加につながり、マイナス部分しか見えてこない。にもかかわらず、それを実行しようとする千葉市の姿勢には大きな疑問符がつくわけだが、そればかりではなく産廃の中間処分の運用についても、とても理解しがたい過剰というか、行き過ぎた指導が行われているようだ。処理業者に何か恨みがあるのだろうか。それとも他方面から妙な圧力でもかけられたのだろうか――と勘繰られても仕方がないのではないか。

◆読者からの声 容リ法制度に製品プラも位置づけられるのだろうか、という問い合わせ。

◆データ ‐平成29年度の一般廃棄物 排出量、減少傾向を継続 総資源化量も減っている‐ 平成29年度の一般廃棄物の排出量・処理状況がこのほど環境省から発表された。ごみの排出量は減少傾向を継続している。また総資源化量も減る傾向にあり、排出量、資源化量ともに縮小しつつある。人口減少が進行しつつある現状にあっては、ごみ排出量も右肩下がりの傾向が続くものと思われる。

◆表彰式 ‐第1回環境カウンセラー 環境保全活動表彰式を開催‐ 環境省は3月22日、合同庁舎5号館において「第1回環境カウンセラー環境保全活動表彰式」を執り行った。今回は86名の応募があり、その中から市民部門からは林家カレー子さんが、事業者部門からは大阪環境カウンセラー協会がそれぞれ環境大臣賞を受賞。原田環境大臣から表彰状が授与された。

◆廃プラ輸出 2月輸出は7.5万t、前年同月比ほぼ横ばい

◆リサイクルマーケット
鉄くず:4月に入り続落展開、大型連休後が焦点
古 紙:「神風」が吹くのではと期待する業者多い
故繊維:北九州市を中核に古着Rの地域循環圏
容 器:プラスチック容器など強まる欧州圧力
カレット:リターナブルびんの減少、鈍化傾向に
ニュース:防災と低炭素同時実現設備導入を補助 ほか

3月号 主な内容

 

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