2019年5月号 主な内容

特集 環境省が市町村に処理要請 行き詰まる廃プラの処理 バーゼル条約改正で一層
中国の資源ごみ禁輸によって日本国内での廃プラ処理が行き詰まりを見せているようだ。環境省は産廃処理業界からの要望を受け、都道府県を通じて市町村に産廃プラの受け入れ協力要請の通知を発出した。これに対して東京都の小池都知事は、都内の自治体では対応が困難とのコメントを発している。環境省の要請に戸惑う市町村も多いと思われるが、5月10日にはバーゼル条約会議で汚れた廃プラの輸出入規制が採択された。日本からは来年夏頃に輸出規制がかかるとの見通しで、廃プラの処理はさらに窮地に立たされる。
スイスのジュネーブで開催されていた有害廃棄物の輸出入や処分を規制する「バーゼル条約」の第14回締約国会議で、5月10日に「汚れたプラスチックごみ」を輸出入の規制対象とすることが決定されたということから、5月半ばに環境省に連絡を入れた。
――汚れたプラスチック、要するに汚れている廃プラですね。この汚れているというのはどの程度ですか。そして誰がそれを決めるわけですか?――
小誌はこんな問いを投げかけた。環境省の担当者は、少し考えてからこのように言った。「これはたとえばの話ですが……

◆再生エネ ‐2019年度の調達価格 太陽光発電さらに価格低下 4月1日より運用開始‐ 「再生可能エネルギー特別措置法」による2019年度の調達価格および調達期間などが決定し、4月1日より新たな価格で運用が開始された。廃棄物・リサイクル業界でも本来の業に加え、再生可能エネルギー事業に進出するところなどが見られ関心が高いようだ。ただ、太陽光発電の固定買取り価格の下方修正や、バイオマス発電の一部には固定買取り制度(FIT制度)の見直しが行われるなど、再生可能エネルギーの調達価格は低下に向かっている。

◆通 知 ‐環境省が各都道府県に通知 産廃プラを市町村施設で処理 緊急避難として協力要請‐ 一般紙などがすでに報じているように、環境省は中国の禁輸措置により処理がひっ迫している産廃に該当する廃プラを、市町村の一般廃棄物処理施設で受け入れて焼却処理してもらうよう各都道府県・政令市に対して、5月20付けで通知した。廃プラの処理について通知では、「あわせ産廃」として処理が可能としている。また今回協力要請は、「緊急避難的措置」として、「必要な間」としている。

◆ズームイン ‐事業系一般廃棄物業界39 環境省の要請に都は難色 産廃プラの市町村処理‐ 環境省が市町村に一般廃棄物処理施設で産廃プラを焼却処理してもらいたいとの協力要請を行った。これについて小池東京都知事は、区市町村としては受け入れは困難との認識を示した。「(産廃プラは)本来、事業者の責任で処理されるべき」とし、都内の清掃工場が産廃も手がけた場合、家庭ごみなどの処理に影響が出る可能性があるということも理由のひとつとしているようだ。都内の清掃工場が産廃プラを受け入れるとなれば、懸案となっていた「弁ガラ」の処理に道筋がつくとの業者の「期待」も空振りに終わるのか。

◆総 会
・全清連第10回定時社員総会 新会長に三井弘樹氏を選出 令和の時代、新体制スタート  (一社)全国清掃事業連合会は、4月24日午後2時より千代田区一ツ橋の如水会館を会場に、オブザーバーを含め総勢265名の出席を得て第10回定時社員総会を開催し、任期満了に伴う役員改選では、新会長に三井弘樹氏を選出した。全清連は結成から20年の節目の年を迎え、さらに時代は平成から令和へと移る。これに歩を合わせるように全清連も新たな時代の幕開けとなった。なお、三井崇裕前会長は名誉会長に選任された。
全清連総会記念講演会(地域循環共生圏 環境省地球環境局総務課長・秦康之)

・関東商組第56回通常総会 変化の時代に立ち向かう 欧州へリサイクル視察調査 関東製紙原料直納商工組合(関東商組・大久保信隆理事長)は5月16日、JR日暮里駅近くのホテルラングウッドで第56回通常総会を開催。大久保理事長は、大型連休で古紙の出荷はされなかったにもかかわらず古紙は溢れずに組合員で在庫できたことに安堵の色を浮かべた。また、変化の激しい時代を迎え、業界自ら立ち向かって行かなければ発展はないとの考えから、今年は欧州へリサイクル制度の視察調査を行うことなどを述べた。
関東商組総会講演会(働き方改革 特定社会保険労務士・石岡實)

・東資協第70回通常総会 付加価値つけた回収を提案 歴史ある組合を後世に 東京都資源回収事業協同組合(東資協・松本貞行理事長)の第70回通常総会は5月18日、JR日暮里駅に近いホテルラングウッドにおいて開催された。松本理事長は、デジタル化などにより古紙回収量に減少傾向が見える中にあって今後は、ただ集めるだけでなく、そこに付加価値をつけて回収していくことで行政や地域に提案できることの可能性が様々あるとし、70年という歴史ある組合を後世に引き継いでいくと強調した。

◆時の話題‐ 一般廃棄物処理の新機軸13 売買の「場」が必要になるか やめていく業者の継承‐ 資源回収業界は身体がきつくなって商売をやめる業者が増えつつあるという。やめる前に他の業者、とくに若い人たちに自分の仕事を譲れば(売る)いいのではないかと思うのだが、どうもそのようにはいかないようだ。「ギリギリまで仕事をしてそれでやめてしまうものだから、バトンタッチができないんだ。潮時かなと思った時点で譲らないと……」と、小誌が話を聞いた資源回収業者のA氏はいう。この件をもう少し考えてみると、事業を譲り渡したり譲り受けたり(売買)できる「場」をつくって行くべきではないのか、といった視点も浮かんでくるのだが。

◆読者からの声 千葉市の件で読者からこんな問い合わせがあった。

◆廃プラ輸出 3月輸出は7.5万t、前年同月比2万t減

◆情報ファイル
・環境省と日本財団共催による海ごみゼロ国際シンポ開催
・議員立法で国会提出、「食品ロス削減推進法」成立へ

◆リサイクルマーケット
鉄くず:値下がり続く、国内電炉トン3万円割れ
古 紙:価格浮上は時間かかる2年ないし3年?
故繊維:マレーシア向け輸出、現地は試行錯誤
容 器:PETくず輸出量、マレーシア向け増だが
カレット:渋谷でレアなガラスびん300本以上展示
ニュース:G7環境大臣会合、日本は3点の取組み発信 ほか

4月号 主な内容

 

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