2019年6月号 主な内容

特集 全清連が研修会を開催 1.28最高裁判決などを勉強 担当弁護士による解説
(一社)全国清掃事業連合会 (全清連・三井弘樹会長)は6月10日、千代田区のホテルモントレ半蔵門において「1.28最高裁判決と八代裁判について考える」をテーマに研修会を開催した。講師は八代裁判を担当している阿部泰隆弁護士と、平成26年1.28最高裁判決を担当した湯川二朗弁護士のお二人。何が問題になっているのか、そしてどういうことに気をつけなくてはならないのかなどを理解して、これからの仕事に生かしていく上での研修・勉強会となった。
平成26年1月28日に小浜事件の最高裁判決が出された。当時担当していたのは湯川二朗弁護士(大阪学院大学教授)だ。「最高裁判決平成26年1月28日(小浜事件)の周辺事情」とのテーマで湯川弁護士は話をはじめた。「判決の言っている一般論が、どういう意味を持っているのか。持たそうとしているのか。あるいは持っていないのか。この辺のところを考えていただければ」と、本日の説明の要点を語った。「昭和62年頃から平成16年頃まで既存業者1社で業務をやっていたが、平成13年に新たに1社、16年にも1社が許可を取っていた。市の処理計画と適合していないからということで、新規許可の取り消し訴訟を出した。
処理計画や新規許可については既存業者に情報公開を求めさして取得した」(湯川弁護士)。が、……

◆循環型社会 ‐中環審循環社会部会を開催 食リや廃プラ処理など審議 市町村の受け入れなどに質疑‐ 中央環境審議会循環型社会部会(部会長・酒井伸一京都大学教授)は5月29日、約1年ぶりとなる部会を開催。食品循環資源の再利用促進に関する基本方針(答申)や第四次循環基本計画の評価・点検の進め方、さらに、いま課題となっている廃プラの処理などについて審議した。食品循環資源の再利用基本方針については市町村の受入れなどについての意見が多く聞かれた。また行き詰まりがあるとされている廃プラの処理については、環境省が市町村での受け入れ協力要請を通知したが、これらを含めて様々な質疑が出された。

◆匿名インタビュー ‐ひっ迫する廃プラの処理 再生原料の強制使用が必要 安易な輸出が施設整備阻害‐ 中国が廃プラを禁輸としたことで日本国内での廃プラ処理が行き詰まりを見せている。緊急措置として国は市町村に廃プラ(産廃プラ)受入れの協力要請を通知した。どのくらいの市町村がこの要請に応えるかはわからないが、協力するにしてもその期間が定かではない。基本的には急ピッチでリサイクルを進めていくかないわけだが、こうした中で、ある廃棄物処理業者(K氏としておく)は、いくらリサイクルで国内処理を進めるといっても、再生原料を使わなければこの問題は解決しない。強制的に使わせるべきだという。話をきいた。

◆再生資源‐ 積み上がる問屋在庫 段古紙の輸出価格が大崩れ 10円割り込みひとケタに‐ 米中貿易戦争の影響によるものだろう、古紙輸出価格が急落、大崩れしている。とくに段ボールがひどい。10円を割り込みひとケタ台に突入した。7月1日からはさらに軟化するとの情報ももたらされている。国内メーカーは段ボール・新聞・雑誌とも納入数量を20~30%カットしており、段ボールは問屋在庫が積み上がっている。いつまでこうした状況が続くかまったく先が見通せない。過剰在庫を抱えるぐらいなら安くても、赤字でもいいから輸出して需給調整をしていくのか――。こうした考えも浮かび上がってくる。

◆時の話題‐ 一般廃棄物処理の新機軸14 料金の単一化という手法 質の競争という扉が開く‐ このシリーズもそろそろクローズしたい。西のほうから事業系一廃処理料金の単一化という興味ある情報が流れてきて、小誌に着地し書きはじめた。途中読者の方からも指摘されたことがあり、あちこちのことを書きつつ気が付けば14回目になっていた。話を元に戻す。ある地区でこのシステムを行政に提出するような気配が濃厚になってきた。以前少し触れたが、指定のごみ袋を排出事業者に買ってもらい、その袋でごみを出してもらうやり方だ。単一料金だから排出事業者はどの業者に出しても同じ。同じなら雰囲気がよくてサービスが良い業者を選ぶだろう。業者は価格競争ではなく「質」の競争になる。新しい扉が開かれようとしている。

◆集 い ‐議連、環境省から多数参会 全清連三井崇裕名誉会長に感謝を捧げる集い‐ 一般社団法人全国清掃事業連合会(全清連・三井弘樹会長)は5月22日、千代田区のホテルニューオータニにおいて、「三井崇裕名誉会長に感謝を捧げる集い」を開催した。来賓には地域廃棄物適正処理推進議員連盟から会長の石破茂衆議院議員、副会長の竹本直一衆議院議員と野田聖子衆議院議員、幹事長の斉藤鉄夫衆議院議員、事務局長の寺田稔衆議院議員、岸田文雄衆議院議員など多数の国会議員が参会、環境省からも鎌形浩史大臣官房長、中井徳太郎総合環境政策統括官、山本昌宏環境再生・資源循環局長をはじめ、ほとんどの部局の幹部が出席し、三井名誉会長のこれまでの活躍、功績を讃えた。

◆ズームイン ‐事業系一般廃棄物業界40 環境省の要請に都は難色 産廃プラの市町村処理‐ 一廃処理業者と言葉を交わすと、決まって出てくるフレーズがある。「人手不足」「ドライバー不足」だ。数年前から聞かれてはいたが、それほど大きな話題にはなっていなかった。しかしここにきては「深刻な状態」になっている。普段デスクワークをしている社員もドライバーに駆り出されるというのはまだいい方で、経営者自らがハンドルを握って収集に走るという光景も珍しくないようだ。しかし一方、こうした状態によって排出事業者の処理料金値上げが進むようになったという指摘も。「やっと排出事業者と同じ目線になった」とする声も聞かれる。

◆総 会 ・東廃協第44回通常総会 山積する問題に柔軟に対応 働き方改革や廃プラ処理等
東京廃棄物事業協同組合(東廃協・豊城勇一理事長)は5月28日、新宿の京王プラザホテルにおいて第44回通常総会を開催した。あいさつに立った豊城理事長は、働き改革や10月に予定されている消費増税への対応、さらに廃プラの国内処理の動向と業界としての要望、来年に迫った東京五輪における廃棄物の分別排出と処理など様々な課題などを挙げ、「問題が山積しているなかで、どのように対応していくのか考えていかいといけない」とし、「今後も組合の地位の向上、発展のために努めていきたい」と述べた。

・全産資源循環連第9回定時総会 振興法案の立法化に向けて 資源循環を一層推進
 (公財)全国産業資源循環連合会(永井良一会長)の第9回定時総会は東京千代田区の明治記念館を会場に開催された。連合会を代表してあいさつに立った永井会長は、一昨年に公表した業界の振興法案(資源循環を促進するための産業廃棄物処理産業の振興に関する法律案大綱)の立法化実現のために、関係団体への働きかけを行うとともに、「産業廃棄物処理業務資格制度の創設を目指していきたい」と述べ、「地域の方々、国民の皆様に信頼されるよう取り組んでいきたい」とした

◆読者からの声 環境省から市町村に出された産廃プラ受け入れ要請。どのくらいの市町村が承諾するのかという問い合わせ。

◆データ‐ 平成30年度の23区のごみ 275万トンで1.1万トン減 資源回収量も減っている‐ 東京23区清掃一部事務組合はこのほど、平成30年度の「東京23区のごみ量」ならびに、平成29年度の23区の資源回収量の状況を発表した。ごみ量は約275万トンで29年度比1万1000トンの減少。また資源回収量は53万トンとなっており28年度比で6000トン減っている。東京都は23区も市町村も毎年人口が増えている。それにも関わらずごみの量が減少している。この現象は、ちょっと説明がつかない。

◆廃プラ輸出 3月輸出は7.5万t、前年同月比2万t減

◆情報ファイル
  ・環境省が令和元年度版環境白書など3合冊発行
・パリ協定に基づく温暖化ガス削減の長期目標を閣議決定

◆リサイクルマーケット
鉄くず:ジリ安展開続く、弱基調秋まで続くか
古 紙:古紙余剰時代の前兆か、行き詰る段古紙
故繊維:税制変更のマレーシアで業者撤退が
容 器:古紙の余剰化が容リに影響及ぼすか
カレット:ビンテージから最先端ガラスびん大集合
ニュース:バーゼル法平成30年度の輸出は21.6万t ほか

5月号 主な内容

 

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