2019年9月号 主な内容

特集 PETボトルの容リ入札結果 下期落札単価はトン4万円 上期に比べ7000円上昇
容器包装リサイクル制度に基づく令和元年度下期のPETボトル落札結果がこのほど、容リ協会から発表された。落札単価は上期よりトン約7000円高い4万円となった。中国の廃プラ禁輸によりPETボトルも事業系を中心に余剰化するのではとの観測が流れていたが、それどころか品質のいいボトルは足りないという声も。高機能繊維やボトルtoボトル(BtoB)などによる需要増が背景にあり、それを裏付ける落札単価の上昇といえるだろう。ただ、量を獲得しているのは価格対応力に強い業者に偏っており、その傾向は年を追うごとに鮮明化している。
令和元年度下期(10月~翌年3月)のPETボトルの落札平均単価はトン4万0480円となった。上期は3万2601円だったので、上期に比べ6879円の上昇となる。これは有償、逆有償を合わせた平均で、有償分だけだと4万4599円と約4万4600円だ。年度の通期では3万6697円。前年度比3300円ほど高くなったことになる。PETボトル産業の関係者は「再生PETがやや高くなっても今さら買えないとは言えない。そうはいっても高くは買えない。バージンとの価格差が出てくる。再生PETの価格は、今は一時いいだけ。メーカーの資材の連中がいつまでこんな価格で買いますよというはずがない」とバージン樹脂との見合いで再生PETの価格は今後下がっていくだろうと予測する。
中国の禁輸によって汚れがきつい事業系ボトルが余るだろうという見方は外れ、国内でPETボトルが余剰化しているという話も聞かない。それどころか品質のいいボトルはやや足りないとの声も聞かれる。再生PETボトルの用途に広がりが見られ、需要が高まっているからだ。

◆循環型社会 ‐中環審循環型社会部会 災廃処理体制構築を審議 処理計画策定率向上が課題‐ 中央環境審議会循環型社会部会(部会長・酒井伸一京都大学教授)は9月12日、今年度2回目となる会合を開催した。議題は第五次環境基本計画の点検の進め方と、第四次循環基本計画の中の重点分野の柱のひとつである「万全な災害廃棄物処理体制の構築」。とくに最近、災害が頻発していることもあり今回の会合では災害廃棄物処理体制の構築について絞り込んで審議が行われた。自治体の災害廃棄物処理計画策定率は、中小の市町村で低い。計画策定率を高めるにはどうするかが取り上げられた。

◆廃プラ対策 ‐環境省が省令を改正 廃プラの保管量上限を倍増 優良認定産廃業者が対象‐ 環境省は優良認定を受けた産業廃棄物処分業者について、廃プラの保管量の上限を現行の14日分から2倍の28日分へと倍増する省令改正を行った。中国の固形廃棄物禁輸により、日本国内での廃プラ処理がひっ迫していることへの対応。省令改正については本年6月27日から7月27日までの約1カ月間、パブリックコメントに付して意見募集を行った。施行期日は本年9月4日、公布日同日施行。

◆再生資源 ‐中国変調、国内も不振 古紙市況、危機的状況に 段古紙中心に膨らむ在庫‐ 古紙市況が秋になっても回復の兆しが見られず、むしろ悪化に向っている気配だ。今年に入り中国向け輸出が大きく減少。価格も6月から大幅に下落している。国内はというと段ボールを中心に6月あたりからメーカーは発注をカットしはじめた。その結果、問屋は大量の在庫を抱える状況に。市況悪化により問屋は仕入れ値を下げているが、仕入れを下げても在庫は溜まっていき、根本的な解決にはつながらない。サブディーラー(二次問屋)の中にはお互い連携したり、あるいはヤードを閉鎖するという動きも出はじめているようだ。古紙市況は危機的状況を迎えている。

◆要望書 ‐全国都市清掃会議 環境省、経産省などに要望 財政措置の拡充など4項目‐ (公社)全国都市清掃会議(全都清・会長:福山一男横浜市資源循環局長)は、令和元年5月23日開催の定時総会において決議された財政措置の強化拡充やリサイクル関連法の推進などを含め大きく4項目からなる要望事項を要望書としてとりまとめ、このほど環境省、経産省、自民党に対し要望書の提出および意見交換を行った。

◆データ ‐平成30年度多摩地域ごみ量 前年度比0.4万トンの減少 総じて微減傾向が続く‐ (公財)東京市町村自治調査会はこのほど、平成30年度の多摩地域 (30市町村・総人口422万7000人)のごみ実態調査を公表した。ごみ量は家庭ごみ・持込ごみを合わせた総量で前年度比4000トン減の104万8000トンとなった。率にして0.4ポイントの低下。家庭系ごみが減少し、事業系中心の持込みごみは横ばいだった。平成17年以降ごみ量は総じて減少傾向を示している。いっとき横ばいになっても1~2年すると再び減っていくというパターンが見られる。

◆時の話題‐ 一般廃棄物処理の新機軸17 事業系ごみを指定袋で処理 埼玉県の自治体の例‐ この欄を2~3カ月「お休み」にする。排出事業者に有料指定ごみ袋を購入してもらい、この袋でごみを出してもらう。袋の代金には許可業者の収集運搬費用と焼却施設での処分費が含まれている。これまでにない斬新な「プラン」だ。小誌はプランの概要をざっくり書いてきたわけだが、これを読んだ方々から様々な反応があった。その反応や声があちこちに拡散し始めているようで、一部では考えもつかない事態になりかかった。プランはある自治体に提案するところまで来ている。非常に微妙な時期に差しかかった。しばらくの間いじらず、じっと動向を見守りたい。で、今回は読者から袋収集について情報が寄せられた埼玉県幸手市の例を記す。本題からは少しずれるが。

◆バイオマス ‐平成30年木質バイオ利用動向 木材チップ利用量は930万トン 前年比58万トンの増加‐ 平成30年に木質バイオマスエネルギーとして利用された木質チップの量は、全体で約930.4万トンに達し、前年比6.6%の増加となった。このうち間伐材・林地残材等に由来するものは274.5万トンで同4.2%増えた。林野庁がこのほど公表した「平成30年バイオマスエネルギー利用動向調査」の結果(速報)で明らかになった。地球温暖化問題から再生エネルギーへの需要が高まっており、FIT(固定各買取り制度)が導入されたことで再生エネの発電施設建設に弾みがついた。木質チップの利用も増えつつある。

◆ズームイン ‐事業系一般廃棄物業界43 管理会社、入札あきらめる 段古紙価格暴落で思惑狂う‐ 「だから言ったのに」といった声がどこからか聞こえてきそうだ。チェーン展開する1都3県のスーパーから排出される段ボール古紙を、入札により一番高い価格をつけた業者に渡す。スーパーにとっては利益が増すからこんないいことはない――。こうしてある管理会社がスーパーに食い込んだ。が、中国が日本からの段古紙輸入価格を大幅に引き下げ、かつ数量も大きくカットしたことで、落札した業者が段古紙を引取りに来なくなってしまった。この管理会社は今後、入札を行わないという情報が流れている。入札導入を切り口に業務を拡大しようとした管理会社の目論見に狂いが生じたといえようか。

◆読者からの声 廃プラのアンケート結果から、市町村受け入れは無理ではないかとの意見が。

◆視 点 ‐この業界は今後どうなる④ イノベを取り入れた未来社会 循環基本計画でもイメージ‐ 循環型社会の形成を目指す国の計画である「循環基本計画」の中で、繰り返し出てくる言葉がある。「人口減少」と「少子高齢化」だ。人口が減っていくうえに、出生率低下により子供の数が少なくなる反面、高齢者が増えていく社会。循環基本計画ではこうした状況にありながら中期的な成長を実現するには、AIやロボットなどの技術を活用した経済社会のイノベーションをあらゆる産業や社会生活に取り入れることで様々な社会課題を解決する「Society5.0(ソサエティーゴーテンゼロ)」の実現に向かっていくと未来社会の姿をイメージし、このことは循環型社会の形成にもつながっていくとしている。

◆廃プラ輸出 7月の輸出は7.6万t、前年同月比0.9万t減。

◆リサイクルマーケット
鉄くず:鉄スクラップ続落、世界景気減速反映
古 紙:秋需空振りの公算、新聞、段古紙不調
故繊維:中国ごみ分別促進、古着市場に変化も
容 器:1.8ℓびん回収率上昇も80%の手前に
カレット:取組み方法で差が出る基準適合物の質

8月号 主な内容

 

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