2019年10月号 主な内容

特集 4月導入予定も不透明 レジ袋有料化の検討始まる 実施時期巡りかみあわず 「レジ袋有料化義務化」の検討が始まった。環境省と経済産業省の検討会合同会議は、9月26日に第1回目が、10月11日に2回目が開かれた。いずれもレジ袋に関連する業界団体のヒアリングとそれを受けての委員の議論という展開。国はオリンピック開催を視野に来年4月1日から有料化義務化を実施したい意向だ。これに対して業界団体は、準備期間があまりにも少なすぎる。消費者の混乱を招くとして一斉に反発。実施時期は少し先送りになる公算が強まっている。3回目からは中間整理に向けた議論が始まるが、課題も多い。
9月26日の第1回合同会合では、制度見直しの骨子(案)を経産省が説明した。プラスチック製買物袋の有料化の義務づけについては、容リ法の第7条の4第1項に、小売事業を行う際に容器包装の合理化が義務付けられている。具体的には、①容器包装の有料化や、②容器包装を利用しない場合のポイント還元など4項目が位置付けられている。今回は省令の中で①について義務づけていく考え。有料化義務付けの対象となる買物袋は、消費者が商品の購入に際し商品を持ち運ぶために用いるプラスチック製の袋とし、例えば衛生管理の観点から極めて薄手の袋(鮮魚や精肉を入れるいわゆるロール袋等)は対象外とする。また、海洋生分解性プラスチック袋、バイオマスプラスチックを用いた袋、一定以上厚みがあり繰り返し使用可能な袋――などは有料化を実施しているEUの例などを参考としつつ義務付け対象外とする考えを示している。
有料化については、プラスチック買物袋の価格設定を各事業者自ら設定するものとし、有料袋の売り上げの使途についても各事業者が自ら設定すべきとしている。また、対象業種は競争上の不公平を生じないよう、あらゆる業種や規模にかかわらず一律に対象とすることが適切とする一方で、中小・小規模事業者への必要な措置を講じるべきとしている。実施時期については早ければオリンピック開催を前にした来年4月1日の施行を……

◆PCB ‐PCB適正処理推進検討委 処理対象PCB廃棄物を拡大 関係法令など一部改正‐ 環境省は10月16日、都内で「PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会」(座長:永田勝也早稲田大学名誉教授)を開催した。橋梁などの塗装に使用されている塗膜や感圧複写紙、汚泥等の可燃性PCB廃棄物(PCB濃度0.5%~10%)が存在しており今後もさらに増加していく可能性があることから、これらを無害化処理認定施設での処理対象に拡大し、処理体制を構築するため制度改正を行う。検討委員会での審議結果をパブリックコメントにかけ、関係法令の一部改正と基本計画の改訂、閣議決定を経て令和2年度からの処理を想定している。

◆自治体 ‐東京都廃棄物審議会 プラ施策のあり方を答申 当面の廃プラ対策盛り込む‐ 東京都の廃棄物審議会(委員長・安井至持続性推進機構理事長)は、昨年8月に東京都知事から諮問を受けた「プラスチックの持続可能な利用に向けた施策のあり方」についてこれまで審議してきたが、10月8日の会合で取りまとめ最終答申を提出した。当面、都が取り組むプラ対策としては、レジ袋有料化によるワンウェイプラの削減、再生プラ・バイオマスプラの利用促進など国の「プラスチック資源循環戦略」と重なる部分は多いが、当面の対策として事業者による廃プラ回収の仕組みの構築支援、事業系廃プラのリサイクル推進などに独自性がみられる。

◆食品ロス ‐市町村は削減計画を策定 食品ロス削減推進法が施行 関係者の連携協力で推進‐ 「食品ロスの削減の推進に関する法律」が10月1日から施行された。同法は今年5月に超党派の議員による議員立法で成立した。食品ロスの削減に関して、国、地方公共団体の責務を明らかにし、都道府県・市町村は食品ロス削減推進計画を策定するなど、関係者相互の連携協力のもと食品ロスの削減を総合的に推進していくことを目的にしている。法施行(第9条)により毎年10月は「食品ロス削減月間」、10月30日は「食品ロス削減の日」に定められた。

◆通 知 ‐大雨による災害により 一般廃棄物処理の特例省令 環境省が10月1日施行‐ 環境省は、令和元年8月から9月の活発な前線に伴う大雨(台風10号、13号および15号を含む)による災害により、とくに必要となった一般廃棄物の処理について、有害物質を含む廃棄物が付着・混入しないように分別等の措置が講じられたものを処理する場合に限り、都道府県知事に届け出することにより、安定型最終処分場を一般廃棄物最終処分場とみなすことができる特例措置を講ずる。環境省令で定める一般廃棄物の特例に関する省令が、令和元年10月1日に公布され、同日施行された。都道府県および政令市の廃棄物行政主管部長宛に通知した。

◆時の話題‐ 一般廃棄物処理の新機軸18 排出量が少ない事業系の例 専用指定袋で許可業者収運‐ 先月号で埼玉県「幸手市」(及び隣接する杉戸町)が実施している有料指定袋による事業系ごみの処理について書いた。排出事業者が購入する有料指定袋の価格は、ごみを受け入れる自治体の焼却施設での処分費に相当するもの。許可業者の収集運搬費用はそれとは別に業者と排出事業者の間でとり決めることになる。こうした中で東京都立川市は、ごみの排出量が少ない小規模事業者を対象に専用有料指定袋での処理方式を導入している。小規模事業者がごみを入れた専用指定袋は許可業者が収集運搬をするが、この袋の価格には収集運搬料金と処分費(焼却費)の両方が含まれている。参考のために記す。

◆視 点 ‐この業界は今後どうなる⑤ 「地域循環共生圏」の形成へ 地域循環圏を一歩前進‐ 平成30年6月に閣議決定された「第四次循環基本計画」の中に、ごみ処理・リサイクル業界が今後進むべき方向が示唆されていると書いた。この100ページにも及ぶ文書の中に『地域循環共生圏』という言葉がしばしば使われている。「地域循環圏」に「共生」という文字が入っている。じつはこの「地域循環共生圏」という考えは、循環基本法の上に位置し平成30年4月に閣議決定された「第五次環境基本計画」で提唱された概念だ。「第四次循環基本計画」では循環分野からアプローチしてこの「地域循環共生圏」を形成する方向を示している。

◆表彰式 ‐資源循環・システム表彰 経産大臣賞に東京エコなど 合計8件12社が受賞‐ 産業環境管理協会は10月18日、東京港区の機械振興会館において令和元年度「リサイクル技術開発本多賞」と「資源循環技術・システム表彰」の表彰式を開催した。今年度で24回目となる本多賞受賞が2件、また45回目を迎えるシステム表彰では経済産業大臣賞に東京エコリサイクル㈱など1件3社、このほか経産省環境局長賞などを含めて合計8件12社が受賞。表彰式に続いて受賞内容の事例発表が行われた。100%リサイクルパレットの製造、太陽光パネルのリサイクル、使用済みPETボトルの水平リサイクルなども受賞した。

◆ズームイン ‐事業系一般廃棄物業界44 廃棄物管理業って何だろう 民間で資格を決めるのか‐ 「廃棄物管理業」というのがあるようだ。管理業の資格があって、認定試験に合格すれば資格を取得できるという。ただし、これは公的な機関が試験を実施して合格者に資格を与えるのではなく、あくまで民間団体が行っているものだ。世の中には様々な「資格」がある。そしてその資格が社会にとって本当に有意義で必要とされるものなら、必ず公的機関が関与している。民間がやると資格の「裏付け」がないし、何かあった場合の責任の取りようがない。雑な作りで数ばかりたくさん作るという「粗製濫造」(そせいらんぞう)につながりかねないという懸念もあるからだ。

◆記者説明会 ‐スチール缶リサイクル協会 リサイクル率92.0%と堅調 2018年度の実績など報告‐ スチール缶リサイクル協会(理事長・中村真一日本製鉄代表取締役副社長)は10月9日、中央区の鉄鋼会館で記者説明会を開催し、2018年度のスチール缶リサイクル率やリデュース率の実績、同協会の事業活動などについて報告した。リサイクル率は前年度比1.4ポイント下落したものの第3次自主行動計画の数値目標「リサイクル率90%以上維持」を達成しており堅調に推移。リデュース率も1缶あたり7.29%の軽量化となった。

◆読者からの声 この異常気象は地球温暖化が原因なのだろうか? との問いかけがあった。

◆廃プラ輸出 8月輸出は6.9万t、前年同月比微増

◆情報ファイル 東京都がホームページ開設、廃プラ緊急対策と相談窓口

◆リサイクルマーケット
鉄くず:鉄スクラップ市場、下げ基調止まらず
古 紙:余剰が社会問題になった20年前の再現か
故繊維:カンボジア向け中古衣料期待できるかも
容 器:ダンボールの需要いまひとつ振るわない
カレット:銭湯でガラスびん国産クラフトビールを
ニュース:「地域循環共生圏」実践地域登録制度開始 ほか

9月号 主な内容

 

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