2019年11月号 主な内容

特集 逆有償が拡大する傾向 転換期迎える小電リ制度 目標回収量達成も困難に
  小型家電リサイクル制度が転換期を迎えている。スタート当時とは取り巻く状況が大きく変化しており、現制度では対応が困難となっているのだ。その変化とは、①中国の廃プラ禁輸によって廃プラの処理料金が上昇していること。②発火のおそれがあるリチウムイオン電池が内蔵されている小型家電が増えていること。③資源価格が低迷していること――これらによって小型家電引取り時に逆有償が拡大しつつある。回収量も目標の平成30年度14万トンには届かない。制度の修正が必要になりそうだ。11月8日に開催された国の審議会で議論された。
小電リサイクル制度を審議する産構審と環境省の合同会合は冒頭、環境省の松澤裕大臣官房審議官があいさつ。「平成29年4月から都市鉱山からつくるみんなのメダルプロジェクトも、オリンピック・パラリンピックと連携してやっておりますけれど、目標の回収量14万トンに対して平成30年度は10万トンを超える結果となっております。今回はこのような結果を踏まえまして、またこれまでの議論(非公式)を振り返り、小型家電リサイクル制度の課題とその方向性について議論していただきたい」と語った。平成30年度の小型家電の回収量は、10万0513トンとはじめて10万トンの大台に乗った。前年度比で2万2203トンの増加だ。内訳は市町村の回収量が6万1495トンで6471トンの増加。認定事業者による小売店等からの回収は3万9018トンで1万5732トン増えた。増加の要因は松澤審議官があいさつで述べたオリパラと連携して実施した「みんなのメダルプロジェクト」の効果によるものだろう。それを裏付けるように「メダルプロジェクト」が開始した平成29年度から……

◆容リ法 ‐レジ袋有料化検討合同会合 来年7月1日から一律実施 タイトなスケジュール‐ 経産省(産構審)と環境省(中環審)の「レジ袋有料化検討小委員会」の3回目合同会議が11月1日に開催された。事務局より「有料化のあり方(案)」が示され合同会議として了承した。当初は有料化実施時期をオリンピックの開催を見据えて来年4月1日からとしていたが、準備期間があまりにも少なすぎるとの流通業界の強い反発にあい、7月1日からの実施とした。バイオマスプラの袋や繰り返し使える袋などは有料化の対象にしないなどの例外を設けた。有料となる袋の価格や売り上げの使途は事業者に任せる。パブコメ後にガイドラインを出す。ただこれらを実施までに消費者に説明できるのか。混乱も予想される。

◆ミーティング ‐SDGsステークホルダー会合 自治体や企業が取組み発表 様々な立場の人々が協働‐ SDGsステークホルダーズ・ミーティング会合がこのほど環境省と(公財)地球環境戦略研究機関の共催で開催された。この会合は、地域課題の議論も踏まえ自治体と地域密着型の企業との連携をとり上げるなど、より実践的で具体的な例を紹介しつつ地域が抱える課題に対して、住民や行政、NPOなど様々な立場の人々と協働しながらSDGs達成にどのような貢献ができるか議論を深めるもの。外務省や環境省によるSDGsに関する最新動向の報告に続き、自治体は横浜市が、企業は太陽住建などがSDGsに向けた取組を報告した。

◆セミナー ‐紙リサイクルセミナー 段古紙厳しい状況続きそう 古紙を巡る動向など講演‐ (公財)古紙再生促進センター(渡良司理事長)は10月30日、千代田区の星陵会館において令和元年度「紙リサイクルセミナー」を開催した。古紙と同様に中国の禁輸の影響を受け、課題解決に取り組んでいるRPF工業会から「廃プラスチックの現状」が、古紙センターからは「欧米の古紙輸出と東南アジアの古紙輸入の動向」について、全国製紙原料商工組合連合会(全原連)からは「国内古紙の品質改善」についてそれぞれ講演があった。

◆一廃全国大会 全清連、全国研修大会を開催 持続可能な地域づくり目指す 地域循環共生圏・SDGs‐ 一般社団法人全国清掃事業連合会(全清連・三井弘樹会長)は10月23日、東京千代田区の砂防会館において令和元年度「全国研修大会」を開催した。全清連会員600名の参加をみて開催された今研修大会のメインテーマは『地域が持続可能であるために――私たちができること、成すべきこと・SDGs』。人口の減少と少子高齢化が急速に進む日本。こうした状況にあっていま最も問われているのは、持続可能な地域づくりだ。これは国の計画である「地域循環共生圏」に通底しており、SDGs(持続可能な開発目標)にも絡んでくる。研修会ではSDGs・地域循環共生圏づくりに取り組む全清連会員企業5社の事例発表も行われ、持続可能な地域づくりを深く考える場となった。
※SDGs・地域循環共生圏、全清連会員の取組み事例発表‐ 全国研修会での取組み事例発表企業と報告者は次の5社。実施している事業を報告しつつSDGsとの紐付けを整理した。
 ①㈱丸共(代表取締役・林隆生:新潟県、社員数:正社員68名パート社員25名)。
 ②(有)三功(代表取締役・片野宜之:三重県、社員数:正社員60名アルバイト15名)。
 ③藤野興業㈱(専務取締役・片山敏:大阪府、社員数:従業員142名、うち正社員117名)。
 ④因幡環境整備㈱(総務部長・高塚雅史:鳥取県、社員数:従業員180名)。
 ⑤(有)共栄資源管理センター(専務取締役・江口祥弘:福岡県、社員数30名パート含む)。

◆読者からの声 レジ袋の有料化義務化の決定までが早すぎるるのではないかとの声。

◆ズームイン ‐事業系一般廃棄物業界45 大手動脈系の影がちらつく 地方都市の業者が抱く懸念‐ この業界にも「黒船」がひたひたと押し寄せてきているのではないか――。黒船とは大手動脈企業のことを指す。40~50万人規模の地方都市の業者の中にはこうした懸念を抱いている向きがある。それはたとえば災害廃棄物の処理に関係する部分からきている。ここ数年、日本では地震や台風、豪雨などの災害が頻繁に起きている。大量の災害廃棄物が発生する。自治体の施設では物理的に処理できない量だ。そこで大手動脈系の環境企業などの出番となる。大きな処理施設を確保しているので処理を請け負うことになる。ただ一部の処理業者からは、こうしたことを皮切りに巨大資本が徐々に自治体に食い込んでいくのではないかとの声も聞かれるのだ。

◆調査結果 ‐中国廃プラ禁輸の影響 自治体「保管量増加」が減少 業者処理料金は値上げ増加‐ 環境省はこのほど、平成29年末より中国が廃プラ輸入禁輸措置を行なったことによる影響について、自治体(都道府県と政令市)および産廃処理業者(中間処理業者と最終処分業者)に実施したアンケート調査結果を発表した。調査は本年8~9月に行われたもので、平成30年8月及び平成31年3月調査に続き3回目。調査結果は前回の3月調査と比較して、「保管量増加」が減っている。また業者サイドの処理料金ということでは「値上げした」が増加している。なお、自治体回答では輸入規制による廃プラの不法投棄は確認されていない。

◆表彰式 ‐3R推進功労者等表彰式 内閣総理大臣賞含め40件 学校・企業・団体など‐ 3Rに積極的に取り組み顕著な実績を挙げている学校、企業、団体などを表彰する「リユース・リデュース・リサイクル推進功労者等表彰」が10月29日、都内のホテルで開催された(3R推進協議会主催)。内閣総理大臣賞には群馬県立藤岡工業高等学校と花王株式会社の2件が受賞したほか、文部科学大臣賞1件、農林水産大臣賞2件、経済産業大臣賞1件、国土交通大臣賞6件、同協議会会長賞28件などあわせて40件が表彰された。

◆廃プラ輸出 9月輸出は7万t、1~9月で10万t減

◆情報ファイル SDGs実施指針の見直し、決定版骨子の意見募集

◆リサイクルマーケット
鉄くず:市況反発局面迎える輸出2000円アップ
古 紙:段古紙に逆有償化も20数年前にも同現象
故繊維:中国は再生資源輸出国になる可能性も
容 器:プラ袋から紙袋へ脱プラ進むアパレル
カレット:ガラスびんアワードエントリー受付開始
ニュース:農水省が好事例集公表、食品ロス削減 ほか

10月号 主な内容

 

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