2020年1月号 主な内容

特集 古紙価格が大暴落 資源回収業者もろに影響 撤退・廃業も出はじめた
古紙価格が大暴落している。中国が固形廃棄物の禁輸を実施して、段古紙を中心とした古紙の輸入を絞ってから需給が完全に狂ってしまった。余剰化した古紙は国内メーカーも受け入れ切れず結果、問屋在庫の積み増しとなり、価格の暴落につながった。大きな影響を受けているのは前線にいる古紙回収業者だろう。集団回収から撤退する回収業者も出はじめている。こうしたことから東京都資源回収事業協同組合(東資協)は「集団回収事業非常事態宣言」を発令した。この状況を変えるには社会問題化させるか、国に働きかけるしかないのかもしれない。
その昔、古紙価格を「7・5・3」(しち・ご・さん)と呼んでいた時代があった。新聞7円、段古紙5円、雑誌3円という価格からこう呼ばれていた。それが今年1月20日時点での問屋買取り価格が、ほぼこれに近くなっていることに愕然とする。
中国は禁輸措置により、輸入枠を絞り込んでおり、それによって日本国内で古紙が溢れ、価格の暴落につながった。とくに段古紙は中国の輸入制限に加え、国内製紙メーカーも問屋への発注数量を毎月のようにカットするという「ダブルパンチ」を受け余剰化が進み、問屋在庫が相当積み上がった。
直近の段古紙市況としては「いつもなら輸出は12月10日ぐらいでおしまいになるのだが、昨年は20日ぐらいまで(輸出が)できた。なので安くても何でもどんどん出した」という状況だったようだ。安くても何でもって言っても、いったいいくらで出したのか聞いたら、「3円だ」という答えが返ってきた。ベトナム向けらしい。12月に結構出荷したので、在庫水準は少し下がったが、1月になって再び増えはじめ……

◆容リ法 ‐レジ袋有料化検討合同会議 実施「ガイドライン」示される 最終のとりまとめ‐ 経産省と環境省によるレジ袋有料化合同検討会議(委員長:酒井伸一京都大学環境科学センター教授)の第4回目が暮れも押し詰まった2019年12月25日に開催された。第3回合同会議(11月1日開催)で「有料化のあり方について(案)」が示され、その後すぐにこれをパブコメ(パブリックコメント)にかけられた。今回はこのパブコメに寄せられた意見や提示されたガイドラインをもとに議論が交わされた。最後の取りまとめといえるが、過去第3回までの議論で出された方針を整理し確認するとともに、それを追認した形だ。新たな施策は出されなかった。

◆循環型社会 ‐中環審循環型社会部会 地域循環圏、横展開は困難も 高齢者ごみ出し支援も課題‐ 中央環境審議会循環型社会部会は2019年12月20日部会を開催し、第四次循環型社会形成推進基本計画(循環基本計画)の点検や重点分野以外の分野における施策の進捗状況などを議論した。委員からは「食品ロスの削減」「ごみ処理広域化」「高齢者ごみ出し支援」「地域循環共生圏の構築」などに関する意見が比較的多かった。地域循環共生圏形成では、これに取り組む自治体が少ないことや認知度も低いことなどから、認知度を引き上げるとともに、好事例の横展開を図るとする方向性を示した。が、横展開は困難との意見がいくつか出された。

◆シンポジウム ‐災害廃棄物対策に関して 災害発生時の初動対応を検討 ボランティア団体も報告‐ 環境省は1月14日、千代田区平河町の「砂防会館」において、「災害廃棄物対策に関するシンポジウム」を開催した。令和元年は台風15号・19号など、たび重なる台風による大きな自然災害が相次ぎ、日本列島に甚大な被害が発生した。速やかな復旧・復興を実現するためには、災害発生時の初動対応が重要となる。今回のシンポジウムは、「災害発生時の初動対応」をテーマに、住民・ボランティア等に対する情報の発信・伝達のあり方などについてノウハウを共有し、対策を推進していく。

◆ズームイン ‐事業系一般廃棄物業界47 逆有償状態に入った段古紙 大手スーパーでは調整難も‐ スーパーやコンビニなどの排出事業者から一般廃棄物処理業者が引き取る段古紙が、逆有償に入った。排出者からコストをもらわないと引き取れないほど古紙価格が暴落しているからだ。一廃業者は引き取った段古紙を古紙問屋に持込む。売却費(問屋の買取価格)は㎏5円程度だ。この低価格では商売にならない。一廃業者の中には排出事業者と長期契約を結ぶのをやめ、1カ月ごとの契約にして逆有償の価格をその都度決めるという「戦術」を取るところもあるようだ。ただ大手スーパーとなると少し事情が……

◆視 点 ‐この業界は今後どうなる⑧ 仕事と結びつく「空き家対策」 中小企業のSDGsの例‐ ごみ処理・リサイクル業界が今後進むべき方向性としては、国が掲げる「地域循環共生圏」の形成に関して、何らかの役割を担っていくことではないかと先月号で書いた。地域循環共生圏は、国連が提唱するSDGsと極めて親和性が高い。SDGsに取り組んでいる中小企業の例として、先に開催された「ステークホルダーミーティング会合」で講演していた㈱太陽住建(横浜市・河原勇輝社長)を取り上げた。同社は太陽光発電設備の設置やリフォーム事業などを行っているが、「空き家対策」などにも取り組んでおり、それが仕事にも結び付き地域に溶け込む形で事業展開している。今回は「空き家対策」のつづき。

◆重大事態 ‐集団回収継続の危機 東資協が非常事態宣言 古紙価格大暴落が直撃‐ 東京都資源回収事業協同組合(東資協・松本貞行理事長)は、このほど「集団回収事業非常事態宣言」を発令した。古紙の流通が滞り、価格も大暴落に陥っている。とくに集団回収事業においては、価格の大暴落によって撤退、廃業する回収業者が増加している。日本のリサイクル文化ともいえる集団回収システムを維持していくためにも自治体などからの助成を求めている。

◆データ ‐産廃不法投棄の状況 平成30年度は15.7万トン 前年度比約4倍に増加‐ 環境省はこのほど、平成30年度の産業廃棄物の不法投棄の状況をとりまとめ発表した。新たに判明した不法投棄事案は155件で、不法投棄量は奈良県天理市で大量投棄事案が判明したことなどで前年度の約4倍、15.7万トンに達した。過去からの傾向、とくにピーク時の平成前半に比べて不法投棄件数、投棄ともに大幅に減少しているものの、跡を絶たない状況が続いている。

◆賀詞交歓会 関東製紙原料直納商組・古紙品質の持続的向上を/(公財)古紙再生促進センター・余剰化対策に叡智を結集

◆読者からの声 先のアジアプラスチック資源循環促進協会の設立の意味についての問い合わせ。

◆廃プラ輸出 11月の輸出は8.1万t、年間で10万t強の減少か

◆情報ファイル シンポSTIがもたらす地域の新たな価値創造

◆リサイクルマーケット
鉄くず:模様眺めの商況、動きは春節明けから
古 紙:集団回収の危機は東京だけではない
故繊維:集団回収崩壊の恐れ故繊維にも影響が
容 器:リユース容器導入はどのような結果に
カレット:分別収集見込量ガラスびん1.9万t減
ニュース:ゼロエミ東京戦略を策定 ほか

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