2020年2月号 主な内容

特集 再生資源の輸出動向 古紙と廃プラに大きな影 中国向け出荷落込み顕著
2019年の再生資源の輸出量が財務省発表の通関統計で明らかになった。中国の固形廃棄物禁輸の影響で、日本からの輸出量が大きく落ち込んでいる。とくに古紙と廃プラの出荷数量の減り方が鮮明化している。この5年間でこの2品目はどのような推移をたどっているのか、グラフにまとめてみた。古紙についてはとりわけ段ボールは廃棄物処理業者や古紙業者に大きな影響を与えるため、段古紙を単品で取り出しグラフ化した。今年の成り行きによっては余剰化が社会問題化しかねない。業界も大きく変わってくる可能性がある。
ここ5年間の日本からの古紙輸出を時系列でグラフ化してみた。これでわかるように2017年から中国への輸出量が減りはじめている。段ボール古紙を単独で抜き出してみたが、段古紙はイレギュラーな動きを示している。2018年に高い「山」を築いている。この年は米中貿易戦争が激化し、中国が米国の古紙に25%という関税をかけたのだ。米国の段古紙が中国に入ってこない。そこで中国はそれを穴埋めする形で日本からの段古紙を買い漁った。価格は11月過ぎに㎏30円を超えて31円とか32円という声も聞かれた。一部の古紙問屋は「長いことこの商売をやっているがこんな価格後にも先にもない」とびっくりしていた。この高い山はそれを現している。ところがそのあとがいけない……

◆環境施策 ‐全国環境担当部局長会議 プラ資源循環を中心に説明 7月のレジ袋有料化念頭に‐ 環境省による「全国都道府県及び政令指定都市等環境担当部局長会議」が1月24日、中央合同庁舎で開催された。この会議は、環境全般に関する国の施策状況や方針などを説明し、自治体に対応や協力などを求めるもの。「環境再生・資源循環局」の説明は「循環型社会形成の推進」「循環産業の国際展開」「リサイクルの推進」「食品ロス削減」「一般廃棄物の適正処理・3Rの推進」「災害廃棄物対策」「産業廃棄物処理」などについて。持ち時間は小一時間。各担当者が駆け足で説明した。なかでも「プラスチックの資源循環」は、本年7月から「レジ袋有料化」が実施されることもあり比較的多くの時間を割いた。

◆ミーティング ‐SDGsステークホルダー会合 金融機関や地域企業の取組み 様々な立場から事例を共有‐ 環境省と(公財)地球環境戦略研究機関の共催による「SDGsステークホルダーズ・ミーティング会合」が2月17日、新橋カンファレンスセンターで開催された。この会合は、国際社会及び国内におけるSDGsの実施状況を共有するとともに、環境側面からのSDGsの取組を推進するために、民間企業や自治体、NGOなどの様々な立場から先行事例を共有して認め合い、更なる取組の弾みをつける場として平成28年度から開催している。今回は行政、金融機関、地域企業などの事例が紹介された。

◆祝 典 ‐東京都資源回収事業協同組合 創立70周年記念式典を挙行 力を合わせて難局を打開‐ 東京都資源回収事業協同組合(東資協・松本貞行理事長)は、昨年9月で組合創立70周年を迎えたことからこれを記念して去る2月1日、文京区のホテル東京ガーデンパレスで記念式典を挙行した。当日は参議院の国会議員、東京都議会議員をはじめ資源リサイクル関係者など多数が出席し、東資協の70周年を祝した。古紙の余剰、価格暴落などにより資源業界を取り巻く環境は厳しいものがあるが松本理事長は、「皆で力を合わせて乗り越えていく」と強調した。
□70周年記念講演 ‐柔道は教育、人間力を育てる 柔道家・古賀稔彦‐ 世界選手権2階級制覇をはじめ、3度のオリンピックに挑戦、1992年のバルセロナオリンピックでは、大会直前に左膝内側靭帯損傷の大怪我を負いながらも金メダルを獲得。両手を広げ雄たけびを上げ、日本中の感動を呼んだことで知られる古賀稔彦氏を講師に迎えての70周年記念講演。

◆セミナー ‐白井グループ㈱が開催 廃棄物×SDGsセミナー 廃プラ問題など講演‐ 廃棄物・リサイクル事業を積極的に展開する白井グループ㈱(白井徹社長・東京千代田区)は2月6日、千代田区のワテラスコモンホールを会場に廃棄物セミナーを開催した。排出事業者を対象とした同セミナーは今回で6回目。今回のテーマは「廃棄物×SDGs」。社会問題となっている廃プラ問題、消費者だけでなく法整備やサプライヤー企業の対応も求められる。一方、廃棄物を排出する事業者は何ができるのか――このような問題を考えることがSDGs達成につながるのではとの視点から企画・開催された。廃プラ問題や企業の取組みなどの講演が行われた。

◆時の話題 ‐一般廃棄物処理の新機軸19 プランの提出、一進一退 異を唱える同業者も‐ 指定袋による単一料金導入プランの話しからこの項は始まったのだが、ここしばらくこのことについて書かなかった。それは書き進むうちこれを読んだ方から様々な反応があって、それが拡散し始めて一部では考えもつかなかった事態になりかねなかった。それにこのプランが行政側に提出される手前となり微妙な段階に差し掛かりつつあったので、少しの間動向を見守ろうと考えた。で、そろそろ新たな展開になっているのではと思っていたら、異を唱える同業者もいて一進一退の状態だった。同業者への説明はまだ続くが少し時間がかかりそう。

◆読者からの声 災害が頻繁に起きる可能性が高まっている状況において、災害時のボランティア活動の継続性は保っていけるのだろうかという問いかけ。

◆ズームイン ‐事業系一般廃棄物業界48 段古紙価格暴落を引きずる この状態が契機となって……‐ 1月から2月にかけて一廃業界や再生資源団体などの賀詞交歓会があちこちで催された。新年を寿ぐ席ではあるのだが、どこへ行っても話題といえば古紙価格の暴落のことばかり。なかでも段古紙は多くの一廃業者が取扱いに関わっており、売上げに直接響いてくる部分も大きい。それだけに関心は高いが、先はまったく見通せない。視界不良状態に陥っている。排出事業者から段古紙を収集しても商売にならない。この状態がいつまで続くかわからない――。それならいっそのことこれを機に商売を……。という業者の声がぽつりぽつりと聞こえるようになってきた。

◆データ ‐平成29年度の産廃排出量 349万t減の3億8354万t 再生資源化量400万t減‐ 平成29年度の産業廃棄物の総排出量は、対前年度比で349万トン減少(0.9%減)して3億8354万トンだった。環境省の調査で明らかとなった。減少は3年連続。

◆賀詞交歓会 東京廃棄物事業協組・環境都市東京を世界に発信
 
◆廃プラ輸出 12月の輸出は8.1万t、年間で100万t下回る。

◆BOOK >「ザ・ソウル・オブ くず屋」東龍夫 著‐ 著者の東氏は札幌の資源回収業者。日常の再生資源回収の「現場」の事象から環境問題をすくい取り平易に語っている本。それは生き方の問題であり、タイトルにある自身の「ソウル=魂」でもある。「くず屋」という言葉はある意味差別用語かもしれないが、懐かしさが先に立つ。著者の人柄が表れている好著。

◆情報ファイル 環境省が都道府県に通知、新型コロナウイルス対策

◆リサイクルマーケット 鉄くず:鉄スクラップ値下落コロナ感染も影響
古 紙:中国の誤った政策を変更させないと
故繊維:中古衣料などの輸出2019年は過去最高
容 器:世界は脱PETボトルの流れだが日本は
カレット:ガラスびん生産量2019年100万t割る
ニュース:2日間にわたり地域循環圏のシンポ ほか

1月号 主な内容

 

トップページに戻る