2020年3月号 主な内容

特集 令和2年度の容リ落札結果 PETボトル1万円/トン上昇 コークス炉の逆有償価格増大
日本容器包装リサイクル協会はこのほど、令和2年度(2020年度)の分別収集適合物の落札結果(速報)を公表した。PETボトルは上期分の数字だが、有償・逆有償を合わせた平均落札単価は前年同期比で約1万円/トン上昇して4万3418円(㎏あたり43円)に。有償分だけでみると4万6751円となった。また紙製容器包装は有償から逆有償へと変わった。プラスチック容器包装はケミカル手法のひとつ「コークス炉化学原料化」の逆有償単価が1万1130円/トン増大して5万円を超えた。
PETボトルの落札単価は前年に比べてトン9817円上昇して4万3418円になった。㎏あたりに直すと約10円値上がりして43円になったということだ。この単価は「有償」「逆有償」を合算して平均を出したもので、有償分だけでみると㎏47円近い。前年度と比べると逆有償の量が減っている。それだけPETボトルへの需要が高まっているためだ。
ただ、単価の上昇などについてPETボトルメーカーの関係者はこう言う。「ボトルtoボトルが需要を引っ張っている。だから落札単価も高いものになっている。原油が安くなり、バージン原料が下がっている。レジンの価格が下がっている。にもかかわらず容リの落札単価が上昇しているのは、飲料メーカーが再生PETボトルを使うと宣言したので、(再生原料を)買わなくてはいけない。これが単価上昇の原因でしょう。ただ、これだけバージン価格が下がっていると、はたしてこの(容リの落札)価格が長続きするのか。高い再生原料を(飲料メーカーが)買い続けることができるのか」と。
しかし、こうした疑問を挟む関係者がいる一方で、別の関係者は全く違った見方をしている。それは……

◆災害廃棄物 ‐令和元年度第2回災対検討会 処理支援員の登録制度設置 市町村の処理計画策定を促進‐ 環境省は3月3日、令和元年度「第2回災害廃棄物対策推進検討会」を開催した。昨年9月、10月と立て続けに日本に上陸して甚大な被害をもたらした台風15号および19号における災害廃棄物対応の検証をもとに、自衛隊との連携対応マニュアルの作成や、これまでの被災の災害廃棄物処理を経験し、知見がある自治体の人材を「災害廃棄物処理支援隊」として登録、被災自治体の災害廃棄物処理に関するマネジメント支援制度を設置する。一方、災害廃棄物処理計画の策定率が市町村の場合約半分に過ぎず、発災後の初動対応に問題が生じるケースも見られることから未策定自治体に対する策定促進事業を進める。

◆ガイダンス ‐災害時の一般廃棄物処理 「初動対応の手引き」を作成 処理に関する手順など説明‐ 環境省の「災害廃棄物対策検討会」の中には、3つのWG(ワーキンググループ)が設けられている。このうち災害時初動対応WG(座長:中林一樹明治大学研究・知財戦略機構研究推進員)はこのほど、「災害時の一般廃棄物処理に関する初動対応の手引き」を作成、去る3月3日開催の第2回災害廃棄物対策推進検討会で公表された。災害時の一般廃棄物処理に関する初動対応時の手順および事前検討事項をまとめたもので、災害廃棄物処理計画を策定していない市町村であっても活用できる手引書となっている。

◆ダメージ ‐コロナ汚染、業界への影響 飲食店などごみ排出量減少 処理費値下げの要因にも‐ WHO(世界保健機構)は3月13日、新型コロナウイルス感染拡大について、「いまやヨーロッパがパンデミックの中心となった」との認識を示しコメントを出した。トランプ米国はヨーロッパからの1カ月の入国禁止を発表したが、その米国も新型コロナ感染が広がりつつあり非常事態宣言を出した。日本も日々新たなコロナ感染者が報じられており、先が見えない状況だ。コロナ感染による影響は様々に及んでいるが、とくに大きなダメージを受けているのはキャンセル客が相次ぐ観光と飲食関係ではないか。ごみの排出量も減少しているようだ。一廃業界やリサイクル業界にも影響が及ぼうとしている。

◆匿名インタビュー ‐廃プラ再資源化の現況 コロナショックで在庫激増 産廃業者にも変化が見える‐中国が廃プラの禁輸を打ち出してから丸2年が過ぎた。輸出できない廃プラが日本国内に溢れ不法投棄が起きるのではないか――。当初、こうした懸念がされたが、何とかギリギリのところで踏ん張っているというのが実態のようだ。廃プラの輸出は今までと違いペレットに加工して出さないと厳しくなりつつあり、手掛ける業者も増えてきた。しかしその再生ペレットは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で輸出がままならない状況に陥っている。原油価格の急落がこれに輪をかけ市況も大きく下落している。一方、廃プラを取り扱う産廃業者にも変化が出ているようだ。廃プラの資源化を行っているK氏に話を聞いた。

◆再生資源 ‐古紙市況、急激な下落 4月入りも値下がり展開 自治体入札”不調”が続出‐ 古紙市況に再び値下がりの波が襲っている。輸出価格は3月に段古紙がやや上向いたが、これも2週間程度に過ぎなかったようだ。相変わらず軟調の地合いが続きそうだが、4月はさらに下押すとの観測が流れている。国内の古紙市況も下落している。ここにきてはそれぞれの製紙メーカーが独自に古紙価格の買い入れ価格を下げはじめている。それに合わせて古紙問屋も仕入れ価格を値下げするなど、市況は急激に下がっている。折しも3月は回収古紙の入札を実施する自治体が多い時期だ。が、入札参加を「辞退」する業者が続出。”不調”が頻発している。

◆読者からの声 ボランティアの中で、活動費を得ている団体がある。その原資はどこから来ているのかという問い。

◆時の話題 ‐一般廃棄物処理の新機軸20 零細事業者も生き残っていける 指定袋単一料金の導入で‐ 指定袋による単一料金の導入プランの提出に異を唱える業者が少なからずいて、一進一退の状態であると前月号で書いた。行政との交渉テーブルに乗るには、まずは内側を固めないといけない。同業者の「コンセンサス」(同意)を得るということだ。それにはいま少し時間を要するようだ。ただ、このプラン(システムといってもいいのだろうが)は、導入することで零細業者も業を続けていける、生き残っていけるという「効果」を生む。単一料金制度ということは、処理業者側にとって業の安定化につながる。安定すれば継続性が生まれる。

◆残置物 ‐建物解体時の残置物① 処理責任は建物所有者にある 夜逃げなどの場合は厄介‐ 「建物の解体のことで相談があるのだが」。廃棄物の関係者の方からこんな連絡をいただいた。解体のことなら小誌よりそちらの方が……。と思ったが、もう少し話を聞いてみると、大手建築会社から法律に則った形で解体したいし、残置物の処理や遺品整理なども含めて知りたいというリクエストが来ているとのこと。残置物の処理、遺品整理――。法に則ってということになると、すごく厄介なことになる。今度お会いすることになるだろうが、その前にざっくりしたところを誌面に載せる。

◆ズームイン ‐事業系一般廃棄物業界49 事業を見つめ直す時期に 働き方改革など厳しい環境‐ 事業系一廃業者が、業の中身について方向転換しつつあるようだ。これまでスーパーなど段ボール古紙は、扱うことで儲けを生み出してきたが、今の古紙状況が長期化することを考慮すると段古紙は利益を生まない。方針を見なおす時に来ている、と一部の一廃業者は考えている。ではこの先、段古紙を捨ててどのような形に業をつくり変えて進めていけばいいのか。これは各業者が自身の長所・短所・特質などを考えて取り組んでいくことになるのだろうが、一方で人手不足や働き方改革の実施、社会保障負担費の増加という厳しい環境にさらされている。事業を見つめ直す時期に来ていると言えるかもしれない。

◆廃プラ輸出 減少に底打ち感なし、1月輸出4.9万t

◆情報ファイル 環境省がSDGs活用ガイド第2版発行/環境ビジネスの業況
12月は好調さを維持

◆リサイクルマーケット 鉄くず:鉄スクラップ市況、様子見も弱保ち合い
古 紙:回収業者への助成金、少額でも影響力大
故繊維:中古衣料にもコロナの影、輸出一部流れず
容 器:加速しているPETのボトルtoボトル
カレット:容リのびん落札量34万tは最も少ない
ニュース:コロナ対策での未利用食品をFBへ ほか

2月号 主な内容

 

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