2020年4月号 主な内容

特集 マレーシアがロックダウン 故繊維、荷動き止まり大混乱 衣類の家庭内備蓄求める
新型コロナ汚染はいま欧米が猛威にさらされているが東南アジアでも汚染者が増え続けており、各国はロックダウンや外出禁止、入出国制限など規制を強化している。これに最も影響を受けているのが東南アジアに輸出している故繊維だ。なかでも輸出量の半分を受け入れているマレーシアがロックダウンを実施しており荷物が動かなくなった。国内は衣替えの季節を迎え故繊維の発生が急増。しかし業者は取り切れず大混乱の様相を呈している。こうした中にあって故繊維業者で組織する日本繊維屑輸出組合は、行政などを通じて衣替えに伴う衣類を家庭内に備蓄してもらうよう文書でもって働きかけている。
日本繊維屑輸出組合は、「春の衣替えに伴う衣類処分の延期ご協力のお願い」の文書を出した。故繊維の出口が塞がっている現状を説明し、この時期できるだけ家庭備蓄をして衣替え衣類を出すのをずらしてもらいたいとの要望だ。「マレーシアのロックダウン」「春の衣替え」――に加えてもうひとつ、「市町村の入札時期」がこれらに重なってしまった。分別回収した故繊維を市町村は入札にかける。一番高い価格を入れた者に落ちるわけだが、今年の春の入札は普段とは様相が一変、入札不参加が続出している。入札を実施した中には、お金をもらうという「逆有償」価格を提示した業者もいたが、行政の「予定価格」に達しないということから「不調」となったところも見られている。
マレーシアのロックダウン実施前に落札した業者のなかには、その後すぐにマレーシアのバイヤーが受け入れなくなったため、引取りを放棄したというケースもある。出口が塞がっているので業者は積むしかないわけだが、それも限界がある。新たに備蓄倉庫を借りて積んでもコストがばかにならない。かくして市町村によっては「誰も……

◆環境省通知 ‐新型コロナ感染症に係る 廃棄物の適正、円滑な処理 環境省、都道府県等に通知‐ 環境省は各都道府県知事・政令市長に対して新型コロナウイルス感染症に係る通知を3月4日、4月7日と続けて出した。いずれも環境再生・資源循環局長名で、3月4日の通知は新型コロナウイルス感染症に係る廃棄物を適正に処理することの注意点などを記している。4月7日の通知は同日に7都府県を対象に「緊急事態宣言」がなされたことからこの宣言を踏まえて、廃棄物処理業者などに廃棄物の処理事業の継続などを要請し、廃棄物の円滑な処理がおこなわれるようにすることなど、かなり踏み込んだものとなっている。

◆要 望 ‐全清連が環境省などへ要望 新型コロナの感染拡大における市町村の統括的処理責任の徹底‐ (一社)全国清掃事業連合会(全清連・三井弘樹会長)は、新型コロナウイルスの感染拡大を鑑み3月4日、小泉環境大臣や環境省、石破議連会長などに要望書を提出した。環境省への要望では、現在行われている生活ごみの収集・運搬業務の現状を見ると、今般の新型コロナ感染状況下における一般廃棄物についての統括的処理責任を有する市町村の関与が不十分であるとし、改めて市町村に周知してもらいたいと要望している。

◆要 請 ‐厚労、環境などの5省 雇用維持を各団体に要請 コロナの経済全般への影響‐ 厚生労働省など5省は4月13日、新型コロナウイルス感染症が経済全般へ甚大な影響をもたらしている状況を鑑み、雇用維持に関して適切な配慮を行うよう厚生労働大臣、総務大臣、法務大臣、文部科学大臣と連名で、関係団体に対して要請をした。とくに急激な事業変動の影響を受けやすい有期契約労働者、パートタイム労働者、派遣労働者、新卒内定者の雇用維持に関して適切な配慮を行うよう要請している。

◆ズームイン ‐事業系一般廃棄物業界50 コロナ禍で事業系ごみ減 業者へも影響が出てきた‐ 新型コロナの影響が事業系一廃業者にも及んできた。安倍総理は4月7日夜、感染が急拡大している東京都をはじめとする7都府県を対象に特措法に基づく非常事態宣言を発令した(16日に全国に拡大宣言)。実施期間は5月6日までの1カ月間。緊急事態を1カ月で脱出するには人と人との接触を8割減らすことが必要ということから外出自粛を求めた。これを受けて東京都は、小池都知事が休業要請などの施設を発表したのは各報道の通りだ。その結果、人が集まる飲食業を中心とした事業系ごみが減っている。一廃処理業者にも影響が出てきた。

◆残置物 ‐建物解体時の残置物② 一廃の場合、市町村に相談も 所有者不明のケース‐ 先月号では環境省が平成30年6月22日付けで都道府県・政令市に発出した通知「建築物の解体時等における残置物の取扱いについて」の一部分を抜粋し、残置物の処理責任は建物所有者にあると書いた。しかし例えば、「夜逃げ」したケースなどで所有者不明の残置物はどう扱えばよいのか。これについて少し触れたところで前月号は紙幅が足りず中途で終わってしまった。今回はそのつづきになる。

◆時の話題 ‐一般廃棄物処理の新機軸21 こんな時こそ指定袋単一料金 コロナで飲食から値下げ要望‐ 政府は4月7日、新型コロナで感染者が急増している7都府県を対象に5月6日までの1カ月間の「緊急事態宣言」を発令した。これを受けて東京都は小池都知事が休業要請の対象施設を発表した。居酒屋などは対象外となっているが営業時間短縮などの要請があり、事実上休業するところが相次いでいる。関西地区では飲食店から客足の減少や休業に伴うごみ減で、ごみ処理費の「値下げ要望」が増えつつあると言われている。しかし一度値下げすると元に戻らない可能性もある。こんな時だからこそ、指定袋による単一料金制のメリットが一層際立つ。

◆容リ落札‐プラスチックの落札状況 コークス炉手法の単価上昇 全体の平均単価押し上げる‐ 容器包装リサイクル協会から令和2年度の再商品化落札結果の「確報」が出された。先に公表された速報と比較すると落札単価や数量にやや修正が加えられた数字になっている。プラスチック容器包装の落札単価は、ケミカル手法のひとつコークス炉化学原料化が単価を大きく上げており、結果として全体の平均落札単価を押し上げる形となった。また確報では再商品化事業者ごとの落札量が出されている。材料リサイクル業者の落札量上位10社をあげてみた。

◆指 針‐ガイドラインを策定 使用済み紙おむつの再生利用‐ 高齢化の進展に伴い消費量が年々増加している使用済み紙おむつについて環境省はこのほど、再生利用等に関するガイドラインを策定した。市区町村が殺菌などの衛生的処理をした上でパルプの再生利用や熱回収を行うことを検討するための参考となるように、取組み事例や関連技術、関連規制等を整理した。高齢化の進展により使用済み紙おむつの発生量は2030年には245~261万トン(2015年比約50万トン増)に増加することが見込まれ、今後課題の廃棄物となることが予想される。

◆調査報告書 ‐在留外国人の古紙分別状況 「ルール通りでない」が4割‐ (公財)古紙再生促進センターはこのほど、「地方自治体紙リサイクル施策調査報告書」(令和元年度)を取りまとめた。市区町村の紙リサイクル施策ついてアンケート調査を行い、回答内容を集計・分析したもの。今回の調査は「雑がみの回収状況」「禁忌品の啓発状況」「在留外国人の分別状況」などが主なもの。「在留外国人の分別状況」では、「ルール通り分別されていないことが多い」が、世帯数割合で約41%を占めた。

◆データ ‐平成30年度の総ごみ排出量 4272万tで前年比17万t減‐ 平成30年度(2018年度)における全国のごみ総排出量は4272万トンとなり、対前年度比で17万トン減少(0.4%減)したことがこのほど環境省の調査で明らかになった。また、総資源量も減少し、リサイクル率も低下した。

◆ガラスびん‐日本ガラスびん協会 第16回ガラスびんアワード 最優秀賞に養命酒の「香の森」‐ 日本ガラスびん協会(石塚久継会長)はこのほど、「第16回ガラスびんアワード」において審査委員長を務めるリリー・フランキー氏とフリーアナウンサー富永美樹氏による最終審査会が行われ、応募エントリー数297(403本)の中から最優秀賞に養命酒製造㈱の「香の森」を選出した。

◆読者からの声 新型コロナによって業界はどのような状況に

◆廃プラ輸出 東南アジアもコロナ規制、輸出にも影響及びそう

◆リサイクルマーケット
鉄くず:新型コロナ感染拡大でスクラップ下押し
古 紙:問屋在庫「雑誌」が急増、輸出も厳しく
故繊維:コロナでボロの輸出止まる、行政備蓄も
容 器:ガラスびんメーカー欧州では伸びている
カレット:「その他色びん」落札量、びん原料増加

3月号 主な内容

 

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