2020年5月号 主な内容

特集 第1回合同会議を開催 動き出したプラ資源循環戦略 新法制定の意見も出され
昨年5月に策定された「プラスチック資源循環戦略」を具体的にどう進めていくか。環境省と経産省の合同会議が5月11日開催された。新型コロナウイルス拡大防止のため委員同士がインターネットを通じて映像や音声のやり取りを行うWeb会議方式で行われた。循環戦略で示された「マイルストーン」を達成するには容リプラだけでなく、製品プラや事業系プラなども取り込まなくてはならない。システム構築には課題が多い。委員からは既存の法律では限界がある。新法を制定して実施したほうがいいと思うとの意見も出された。
環境省の資料説明に続いてのフリーディスカッションでは、「すべてのプラを対象にし、市町村が分別収集を進めていくと、(市町村の)財政負担が大きくなる可能性がある」(全都清・大熊委員)とする市町村の財政問題の観点からの意見や、「大きな変化がある。コロナによってワンウエイプラでないと使えない。廃棄物処理業者が公共事業をしているという認識を持たないといけない。社会としてどう全体の(プラの)投入削減をするか、腰を据えて取り組む必要がある。また、これはレジ袋有料化の議論でもそうだったが、既存の法では限界があると思う。適用範囲が素材ですから、新法でやったほうがいいのではないか」(高村委員・東京大学教授)といった既存の法律で取り組むことの限界を指摘するなど、様々な意見が聞かれた。

◆環境省通知 ‐新型コロナ感染症廃棄物処理 緊急処理の場合許可不要に 軽症者施設の廃棄物取扱い‐ 環境省は5月1日、廃掃法の施行規則の一部を改正する省令の施行及び新型コロナウイルス感染症に係る廃棄物の処理についての通知を、環境再生・資源循環局長名で各都道府県、政令市に発出した。廃掃法施行規則の一部改正は、新型コロナウイルス感染拡大により通常の稼働ができなくなる場合など緊急に行う廃棄物の処理を許可不要で行なえるようにする特例措置。また新型コロナウイルス感染症に係る廃棄物の処理では、軽症者宿泊療養施設等から排出される廃棄物の取り扱いなどについて示している。

◆ガイドライン ‐経団連がガイドライン策定 新型コロナ感染予防対策 事業再開に向けての対応‐ 日本経済団体連合会(経団連・中西宏明会長)は、政府が新型コロナ緊急事態宣言を39県で解除する流れを受けて、新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン(指針)を策定した。経営トップが率先してコロナ感染防止対策の策定を検討する体制を整えるよう求めている。ガイドラインは「オフィス向け」と「製造事業場向け」の2つとなっているが、オフィス向けでは勤務についてテレワーク(在宅勤務)や時差出勤、週休3日制などを勧めている。また産業界としては防止ガイドラインを業界団体ごとにまとめている。事業再開に向けて動きはじめた。

◆再生資源 ‐関東製紙原料直納商組 雑がみの扱いなどお願い 組合員が自治体に説明‐ 関東製紙原料直納商工組合(関東商組・大久保信隆理事長)はこのほど、「雑がみの扱いに係るお願い」「リサイクル事業継続に係るお願い」「古着・古布の家庭内備蓄に係るお願い」の3つの要望書を作成した。なかでも自治体が分別収集している雑がみについては、中国の輸入制限に加えて新型コロナ感染拡大という状況にあって市況が極端に悪化していることから、取扱いが困難としている。これらの要望は自治体に向けてのものだが、送付するのではなく各組合員がそれぞれの自治体に出向いて説明および相談していく。

◆ズームイン ‐事業系一般廃棄物業界51 ごみガタ減りで処理業者窮地 資金入らず処分費「延納」も‐ 政府が新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言を、39県で解除すると発表したのは5月14日夜のこと。これを受けて40を超える道府県が事業者への休業要請を緩和していく。しかし5月15日の時点では関東の1都3県から休業要請緩和についての話は聞こえてこない。休業している飲食店、ホテル、デパートなどからごみは出ない。そこをお客とする一廃処理業者は収入が激減しているところが増えつつあり、業者は窮地に立たされている。そのためこうした業者には処分費の「延納」を認める措置を取る自治体も出てきた。

◆残置物 ‐建物解体時の残置物③ 事業所の場合は課題がある 一廃と産廃が排出される‐ 解体やリフォームあるいはリノベーションなどの際に発生する残置物は建物所有者に処理責任がある。一般家庭から排出される残置物は一般廃棄物となる。これが事業所の解体やリフォームの場合に発生する残置物の処理を法律に則ってやろうとするとかなり面倒なことになる。事業所の解体でも残置物処理は建築物所有者に責任があることに変わりはないが、一般廃棄物と産業廃棄物が出てくる。これは次号で触れるが、残置物処理を工事業者に任せてしまうケースが案外多いようだ。

◆時の話題 ‐一般廃棄物処理の新機軸22 この事業は優先的補償が必須 コロナ禍によるダメージ‐ 関東1都3県では新型コロナ感染予防策から飲食店などを中心に休業が続き事業系ごみが激減している。金が回らない処理業者が増えている。ために自治体の中には清掃工場への持込み料金(処分費)を「延納」とする措置を導入するところが出はじめている。こうしたひどい状況は関西でも同じだ。関西では「これをきっかけに商売を畳むか」という業者も出はじめているようだ。こうした一方で、一廃業者の収集運搬は行政の代行でやっているし止めることができない。優先的に補償をかけるべきではないかとする声が上がっている。

◆故繊維 ‐マレーシア条件付き解除も 依然、目立った変化はなし 回復は秋を越えるか‐ 古着・古布が日本国内に溢れている。最大の輸出先であるマレーシアがコロナウイルス感染拡大防止のため「ロックダン」を実施し、物流が止まってしまったことが大きく影響した。このことは4月号の特集で書いたが、NHKも5月18日の首都圏ネットワークで取り上げた。焦ったのは市町村だ。分別収集で回収した故繊維(ボロ)の入札は辞退する業者が続出し「不調」が相次ぐ。そればかりか先に落札した業者が故繊維を引取りに来なくなった。この根本原因は「入札」を導入したことにある。それについて書くつもりだったが、5月4日にマレーシアがロックダウンを条件付きで解除した。今回は情勢について触れる。

◆データ ‐環境省・農水省が公表 平成29年度の食品ロス 612万t、過去5年間で最少‐ 環境省と農林水産省はこのほど、平成29年度(2017年度)の食品廃棄物等及び食品ロスの発生量の推計値を公表した。食品廃棄物等(有価の物を含む)の発生量は約2550万トンで、このうち本来食べられるにも関わらず廃棄されている食品ロスは約612万トンだった。食品ロスの量は推計の公表がはじまった平成24年度(2012年度)以降で最も少ない。

◆読者からの声 問い合わせ。「緊急事態宣言」解除後はどういう社会に

◆調査報告書 ‐「フードバンク」実態調査 拡大しつつあるが課題も 国内で140団体が活動‐ 日本では食品ロスが年間612万トン発生していると推計されている。このような中で、包装の破損や印字ミス、賞味期限に近づいたなどの理由から、品質には何ら問題がないにもかかわらず廃棄されてしまう食品・食材を、食品製造業や小売業から引取り、福祉施設や生活支援を必要とする個人などに譲渡する「フードバンク活動」が広がりつつある。しかしフードバンク活動での食品取扱量は食品ロス量のごく一部で、まだ拡大の余地がある。そこで農水省はこのほど、国内のフードバンク実態調査を実施し、フードバンクの運営上の課題などを整理した。

◆廃プラ輸出 新型コロナに揺れる東南アジア諸国、3月輸出は3.2万t

◆リサイクルマーケット
鉄くず:輸出価格上昇も粗鋼生産顕著な落ち込み
古 紙:よいのは段古紙だけ、雑誌発生増で悪化
故繊維:NHKの番組で業者が家庭内備蓄のお願い
容 器:大阪市がPETボトルの新たなR法式
カレット:新型コロナ波及によりビールびん苦戦
ニュース:環境省事業についてSDGs組込み開始 ほか

4月号 主な内容

 

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