23区の清掃事業

 平成12年度にそれまで23区を一括してごみ処理を行なっていた東京都から、23区に清掃事業が移管された。とはいえ、その体制は収集運搬を各区が行い、清掃工場の管理・運営は23区で組織する23区清掃一部事務組合が実施、そして最終処分場の管理・運営は引き続き東京都が受け持つという分断された形。事業系一般廃棄物の許可は23区でつくる清掃協議会が全体の窓口になった。

 その後平成18年度からは一般廃棄物の許可事務を各区で扱うことを柱とする第2回目の清掃移管が行なわれた。これを関係者の間では移管の「完全実施」などと呼んでいるが、ごみ処理コスト負担が23区それぞれになったことで、様々な問題が噴出している。特に一般廃棄物の許可業者が大きな影響を受ける。

 許可の窓口が各区になったため、複数区の排出事業者のごみを収集する場合、それぞれの区ごとに許可更新の手続きをしなくてはならず、更新料も区ごとに支払う。コストアップになるし、書類の書き方が区によって違っていたりする場合があり非常に面倒。

 こうした中で許可業者にとって懸念されるのは「計量」の問題だ。清掃工場は23区清掃一部事務組合が管理・運営しているが、それにかかる費用は各区がごみの量に応じて負担している。家庭ごみの量は分かるが、実は事業系ごみの量は把握し切れていない。そのため事業系ごみについては各区の人口割としている。

 許可業者は複数区を回って収集する。が、清掃工場では搬入時に量るので全体の量は把握できるが、どこの区のごみをどれだけ持ち込んだかの細かな数字は把握できない。

 そこで23区では許可業者に排出先での「計量」実施を求め、それによって区ごとの発生量の把握に努めるという動きが出ている。家庭ごみ同様、清掃工場運営費については多く出している区に、多くの費用を負担してもらうと言うことだ。

 許可業者はこれまで処理料金を袋で取っていたり、㎥で取っていたりしていた部分がある。それが計量ということになると、そのための時間がとられ効率が落ちると同時に「うま味」がなくなるということにもなりかねない。

 このほか、平成20年度からは、これまで破砕・埋立してきた家庭系廃プラの処理を35年ぶりに転換。サーマルリサイクルする方針だ。18年度夏からは4区でサーマル処理のモデル事業が実施される。消費者団体などからの反発は予想されるが、いずれにしろ東京都から23区に清掃事業が移され、その形が大きく変わろうとしている。

トップページに戻る