シリーズ欠格要件 (055月号〜9月号までシリーズで掲載) 

 ■ある産業廃棄物処理業者の役員が、プライベートな用事で起こした飲酒運転の罪により会社の業の許可が取り消された。しかも、いくつか取得している周りの県の許可も「連鎖」する形で次々と取り消しに……。業に関係ない道路交通法違反という個人の罪で会社が罰せられる。一般常識に照らしてこれは行き過ぎだ。この業者はいま行政を相手取って許可取り消し処分撤回の係争を起こそうとしている。


 ■この会社はごく普通の会社というより、阪神淡路大震災や新潟中越地震の際には復旧作業に車両を出して駆けつけるなど普通の会社以上の社会貢献もしている。過去30数年何のペナルティーも受けていない。優良会社ともいえる。許可取り消しで売り上げは激減。従業員のリストラ、車両の売却などを行い、社長の自家用車まで売却した。こんなちょっとしたことで今までコツコツ積み上げてきたものがすべて崩壊した。従業員の生活を含めてすべてが狂った。


 ■この会社の経営者に匿名でインタビューした。処理業者は従業員のプライベートな罪で会社が許可取り消しになる。ならば役所はどうなのか。役人が罪を犯せば役所がつぶれるのか。それに会社は個人情報保護法などにより個人の情報をとれない。しかし行政は警察などに照会して個人情報がとれる。ひとつの県で許可取り消しになると、右にならえでオセロゲームのように周りの県も許可を取り消す。「何でこんな法律なんだろう」。この経営者は落胆すると共に、怒りをもって心境を吐露する。


 ■廃棄物処理法が度々改正され複雑化しているため細かな点に目が行かない。いつのまにかこんな法改正になっている。5%条項というものもある。相手の会社に5%以上の資本を出し、その会社が問題を起こした場合、資本を出した会社が許可取り消しになる。行き過ぎた規制強化といえまいか。

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