容器包装リサイクル法 

 1997年(平成9年度)から施行10年を迎える容器包装リサイクル法が改正された。スターと当時と状 況が様変わりしたのが「PETボトル」。これまで逆有償であったものが平成18年度からは再商品化事業者 が金を出して買うという「有償落札」に移行した。18年度はトン平均で1万7300円。19年度は3万8900円 の値段がついた。市町村の分別収集量は年間25万トンほどだが、このうち指定法人への委託は約14万ト ンとなっており独自処理が目立つ。独自処理の中には海外へ輸出されている例もあるようで、国内の再 商品化施設の操業率が極端に低下。荷物が集まらないのと過当競争の激化により、大手再商品化業者の 中には立ち行かず会社更生法を申請したところも出てきた。こうしたことから改正法では「指定法人な どへの円滑な引渡しの実施」という条文を盛り込んだ。

 改正法では市町村に資金を拠出する制度を導入する。分別収集にかかる費用負担が大きく膨らんでいるからだ。仕組みはかなり複雑なため省くが、拠出金制度は平成20年度から実施され、1年間のデータを 集計して21年度秋に市町村に金が支払われる。

 10年という月日を経て容リ制度についての様々な課題が浮かび上がってきた。これを措置するための 変更は、制度を更に複雑なものとしたといえよう。法制度の見直しは当初10年に1回ということであったが、これを5年ごととした。
 以下、若干の施設紹介――。

 鞄本アクシィーズは新潟市に総事業費約19億円を投じ、処理能力17600トンというプラ容器包装の巨大マテリアル工場「東港工場」を竣工。01年に開設した坪根工場(村上市)と合わせると同社の処理能力は約23000トンに達する。「ペレットミル」の導入と、ペレタイザーに「エトリンガー」というメルトフィルターつきの機械装置を設置したことが特徴だ。これまで培ってきたノウハウを生かし、可能な限り水分を除去して高品質の原料に仕上げていく。(058月号掲載)

日本アクシーズ「東港工場」。右は再商品化の心臓部分フロトウェッグ。竣工を間近に控え工事が急ピッチで行なわれている。

 轄L島リサイクルセンターは10月、処理能力15000トンのマテリアル第2工場を完成。第1工場と合わせて3万トンの処理体制を確立した。広島県下で発生する3万トンのプラ容器の受け皿としての機能は万全。敷地の広さを生かして将来は「成形工場」の建設も視野に入れている。(0410月号掲載)

広島リサイクルセンター第2工場

 潟yットリバースが川崎市に廃PETボトルを化学分解してPETボトル用樹脂に再生する「ボトルtoボトル」の施設を竣工。処理能力27500トン。「ボトルtoボトル」の施設は帝人に次ぎ国内2番目。施設は廃PETボトルの大量発生地である首都圏に立地するなど競争力を備えている。(043月号掲載)

ペットリバース川崎工場

 帝人は「ボトルtoボトル」の施設を山口県周南市の同社徳山事業所内に完成させた。第一期工事(024月竣工)と合わせてPETボトルの処理能力は62000トンと国内最大のマンモス規模。「社会に貢献できる。利益は後からついてくる」。竣工式で帝人の長島社長。(0311月号掲載)

竣工式での帝人・長島社長

 組合事業としてプラ容器包装材料リサイクルに取り組む岐阜県清掃事業協同組合(岐清協)。岐阜県が進めていた「エコタウン事業」に即して施設を建設。敷地内にプラスチック成形メーカーの「タイボー」の工場が併設。製造したペレットはその場で成形原料として使用していくことができるのが特徴。(036月号掲載)

岐清協施設全景

 ウェステック新日商総業梶i新潟)はプラ容器包装の材料リサイクル業者でもあり、また製造した再生原料を100%使用して「杭」や「儀木」「ワイドフェンス」などを成形しているメーカーでもある。全国の材料リサイクル業者11社で「ウェステックリプラグループ」を形成している。板倉北部工業団地に敷地15000坪、建物面積8000坪の「環境ソリューションセンター」を立ち上げた。(034月号掲載)
ウェステック新日商総業鰍フ成形ライン
 アルパレット梶i福井県)は産廃系廃プラを原料にリサイクルパレットを製造する一方で、プラ容器包装の再商品化事業を手がけるというユニークな会社。産廃系プラは排出場所によって物性が異なるが、プラ容器包装は発生地域での品質に差がなく、一定量出てくる。品質の安定と量の確保という点でプラ容器包装を使用するメリットが出てくる。(033月号掲載)

アルパレット梶Bリサイクルパレットの成形のため原料を投入しているところ

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