2020年7月号 主な内容

特集 バーゼル法、廃プラの輸出 該非判断基準(案)示される 規制対象か否かを判断
「廃プラスチックの輸出に係るバーゼル法該非判断基準策定のための検討会」(小島道一座長)の第2回が7月8日Web会議で開催され、該非判断基準(案)が示された。案では規制対象外になる廃プラとしての条件として、飲食物や油等の汚れが付着していないことはもちろんのこと、単一のプラスチック樹脂で構成されていることやリサイクル材料として加工・調整されていることなどを示している。またPETボトルについては裁断され、フレーク状になっていることなどとしている。この夏にパブリックコメントにかけ、修正した後に公布、公表される。
検討会は前回の会議(第1回・6月10日開催)で各委員から指摘があった事項について環境省が答える形ではじまった。指摘は「選別の現場ではPEに若干のPPが混ざることやその逆もある。物性 は若干落ちるが、リサイクルは可能。「単一」の意味が、純度100%となるとリサイクルを 阻害する可能性もある」「フレークのミックスカラーについては、色が混在していても問題なくリサイクル可能である」「ベール品を規制対象とすることが判断基準からは読めない」「ベール品を輸出不可とする案では輸出が成り立たなくなる懸念がある」……など様々。環境省が今回示した判断基準(案)は、これらの指摘、意見、要望などを取り入れた内容となっている。が、委員にとってはまだ腑に落ちない部分があり、意見も出された。ただ、廃プラの場合はリサイクル施設の設備のレベルや処理の仕方、扱う廃プラの種類など様々に違ってくるので、これらすべてを該非判断基準(案)の中で示すのは困難。「すべてを落とし込むのは難しい。運用の中で考えたい」(環境省)となり、座長に一任し修文したのちパブコメに出すこととなった。

◆プラ戦略 -プラ循環戦略第3回 自治体のプラ一括収集の例 ヒアリングで取り上げる- 環境省中環審と経産省産構審による「プラスチック資源循環戦略」の第3回合同会議が6月23日Web形式で開催。前回に続き今回も関係者のヒアリングが行われた。ヒアリングは自治体として名古屋市、日野市、企業からはライオン、パナソニック、すかいらーくHDなど8団体が取組みや課題などを説明したが、なかでも名古屋市と日野市は容リプラに加えて製品プラも分別収集している(ただし名古屋市は1カ月間の実証事業)のが特徴的で、これについて委員からも多くの質問が出された。

◆報告書 ‐環境省が取りまとめ ローカルSDGsビジネス 先進的事例とその進め方‐ 環境省はこのほど、「ローカルSDGs(地域循環共生圏)ビジネスの先進的事例とその進め方」を取りまとめ公表した。『地域循環共生圏』の創造による持続可能な地域づくりに向けた取り組みを推進している企業や地域など21の事業体にヒアリング取材を行い、「地域課題」「地域循環共生圏を構成する要素(ソリューション)」「実現方法」の3つの視点で先進事例の分析を実施。さらに実現方法については、「ビジネスモデル・パターン」「成功要因」「阻害要因・支援策」の3つの視点で調査・分析を行っている。廃棄物・リサイクル業界にとっても参考になる部分が多いと思われる。

◆再生資源 ‐PETボトルフレークが暴落 下記の容リ入札は逆有償か コロナで製造・販売が停滞‐ PETボトルの再生フレークの価格が暴落している。世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響から、PETボトルを素材にした再生繊維製品の製造・販売が停滞していることが響いている。「もの(再生フレーク)が流れない。積んでおくしかない」(資源業者)状況に陥っている。容リ制度にも影響が出ており、今年度上期分の落札業者の中には引取りを辞退するところも出はじめているようだ。下期の容リの入札は、有償ではなく逆有償になるのではないかという憶測も飛び交っている。

◆故繊維 ‐競争入札への疑義② 基本的には廃棄物の処理 公共的側面がかなり強い‐ 先月号のこの欄では、市町村が分別収集した故繊維(古布・古着類)は当初、専業者との「随契」で処理していたが、時を経て「競争入札」に切り替える市町村が増えたことについて書いた。「市場原理」に切り替えたわけだ。市場経済は常に動いている。高値になる時もあれば安値になることもある。処理費をもらってリサイクルするという「逆有償」の局面もある。つい最近では原油価格が一時逆有償になって社会を驚かせた。故繊維の場合も同じだ。しかし市町村は、この部分が理解できないようだ。故繊維の処理は基本的に廃棄物の処理だ。これでは安定的に処理することが強く求められる公共サービスが損なわれる。

◆ズームイン ‐事業系一般廃棄物業界53 搬入手数料減免の要望多い 事業継続のための施策‐ 新型コロナウイルスの影響により飲食店などが大きなダメージを受けているが、そこから排出される事業系ごみも大きく落ち込んでいる。東京23区の清掃工場の維持管理を行う23区清掃一部事務組合が先ごろまとめたデータによると、今年3~6月の間で事業系ごみの落ち込みが最も大きかった月は5月で、前年同月比43%の減。前後の月も減少は顕著だ。事業系一廃業者も経営の窮地に陥っている。東京廃棄物事業協同組合(東廃協)が組合員を対象に行った調査では、事業系一廃の収集という社会インフラ事業を維持・継続していくためには清掃工場への搬入手数料の減免が必要という意見が多数を占めた。

◆視 点 ‐この業界は今後どうなる⑧ 先の方向性が見えてきた 具体的事例が出はじめた‐ 人口減少や少子高齢化などが急速に進む中で、ごみ処理・リサイクル業界はこのまま事業を続けていたら尻すぼみになるのではと思っていたところ、読者の方から今後の業界の姿はどうなる、という問い合わせがあってこの項を書きはじめたのが昨年4月のこと。業界の方向性としては、国が第五次環境計画で示した「地域循環共生圏」の形成に沿っていくことになるのではないかと書いた。その後、国際的潮流となったSDGsが生起し、これと合わせることで業界の進む方向性がより鮮明になると思われ、SDGsの会合で報告された取組み事例を昨年11月号に記した。事例は参考になる。国も報告書をまとめた。

◆データ ‐東京23区の事業系ごみ量 5月が前年比40%強の減少 新型コロナによる影響‐ 23区の清掃工場の維持管理を行っている「23区清掃一部事務組合」(清掃一組)はこのほど、新型コロナウイルス感染症によりごみ量がどう変化しているのか、今年3月からの清掃工場に搬入されたごみ量(区収及び持込み)の推移を発表した。持込みにあたる事業系ごみの量は、飲食店などの休業が直撃し5月は前年同月比で約43%の減少と、単月としては最大の落ち込みになった。

◆総 会
・全清連第11回定時社員総会 SDGs・地域循環共生圏を推進 社会のニーズに応える  (一社)全国清掃事業連合会(全清連・三井弘樹会長)は6月16日、第11回定時社員総会を開催した。いつもの総会はオブザーバーを含め300名近い出席者を得て行われているが、今回は新型コロナウイルス感染拡大防止対策により「書面決議」の形での総会になった。三井会長はあいさつの中で、令和元年度の事業計画のひとつとして新たに掲げた「SDGs・地域循環共生圏推進」への取組みについて触れ、内側の行政や取引先だけでなく、その外側にある社会のニーズに応えられるように我々の仕事の幅を広げていくことが肝要とした。

・東廃協第45期通常総会 理事長に豊城勇一氏を再任 業の継続維持に全力を尽くす 新型コロナウイルス感染拡大の緊急事態宣言が解除された5月25日、東京廃棄物事業協同組合(東廃協)の第45期通常総会が理事のみの参加という形で開催され、理事長に豊城勇一氏の再任をとり決めた。豊城理事長はあいさつで、コロナ禍の影響で安定した経営環境の下で業を維持することが難しい状況となってきたが、「我々の仕事は社会インフラの一環として必要な仕事。一社の組合員も脱落させてはいけない。この業を維持するために全力で取り組んでいきたい」と強調した。

◆ガラスびん ‐ガラスびん3R促進協総会 リユースシステム視察会など 2020年度事業計画など承認‐ ガラスびん3R促進協議会(石塚久継会長)は、過日開催(書面開催)した第24回通常総会において、すべての議案を原案通り可決承認した。例年、事業計画等についてはガラスびん協会との共催で記者説明会を行ってきたが今回は新型コロナ感染拡大防止の観点から中止。代わってプレスリリースとして「2020年の事業計画」などの資料を送付する形とした。2020年度の事業計画としては、新たな取り組みとしてリユースシステム視察研修会の開催などを挙げている

◆読者からの声 事業系一廃の処理費は「減免」にすべきでは、という意見が。

◆廃プラ輸出 新型コロナの影響が本格的に表れた5月、単価・量ともに落込む

◆リサイクルマーケット
鉄 ク ズ:7月入り値下がりも月央から底打ち気配
古  紙:段原紙輸出協力金? メーカーが要請か
故 繊 維:輸出はしているが市場は動いていない
容  器: PETフレーク価格暴落、悪夢の再来か
カレット:2019年のカレット利用率75%クリア
ニュース:元年度の家電4品目引取り量1477万台ほか

6月号 主な内容

 

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