2020年8月号 主な内容

特集 プラ資源循環戦略合同会議 施策の基本的方向性(案)提示 制度設計の議論は秋口から
環境省と経産省の「プラスチック資源循環戦略」の第4回合同会議が7月21日Web形式で開催され、「今後のプラスチック資源循環施策の基本的方向性(案)」が提示された。家庭から排出されるプラスチック類はすべて(容リ制度対象プラ+プラ製品)分別収集してリサイクルすることになる。事業系プラも事業者が回収リサイクルしていく――というのが方向性(案)の大筋だが、(案)はいわば「下書き」に近い。具体化するには法的な課題など様々あり、細部の詰めや制度設計は秋口からになる。
「方向性(案)」は大きく、「Ⅰ.考え方」「Ⅱ.主な施策の方向性」――の2つから構成されている。なかでも「家庭から排出されるプラの回収・リサイクルについて」は、プラス容器包装とプラ製品は、市町村での分別収集及び事業者による自主回収を一体的に進め、最新技術で効率的に選別・リサイクルする体制を確保するとしている。また、市町村とリサイクル事業者で重複している選別等の中間処理を一体的に実施することが可能となる環境を整備する。
また、事業者による自主回収ということでは、食品トレーやPETボトルをはじめとして、店頭回収や拠点回収等の自主回収が進められてきたが、課題も指摘されていることから、プラ容器包装・製品を円滑に自主回収・リサイクルできる環境を整備するとしている。 委員からは「やみくもに集めればいいというものではない。高度なプラが大切。まず、集めてきて考えるではダメ。消費者にもわかりやすい回収が必要。店頭回収で質のいいものを集める。容器包装だけでなくその他も。一括回収が本当にいいのか、慎重に考えた方がいい」などとする指摘や、法律に関することなど様々な意見が出された。

◆バイオプラ ‐導入ロードマップ検討会 関係者のヒアリングを実施 高いコストなど課題‐ 環境省の「バイオプラスチック導入ロードマップ検討会」の第2回会合が7月28日、ウェブ形式で開催された。昨年5月策定の「プラスチック資源循環戦略」では、重点戦略のひとつとして2030年度までにバイオマスプラスチックを最大限(約200万トン)導入するよう目指すことが掲げられた。そのため導入ロードマップ策定のため検討会が設置された。第2回目の検討会は、関係者のヒアリングが行われた。課題はバイオプラ導入に関するコスト面と消費者の関心の低さといえるか

◆環境施策 ‐全国廃・リ課長会議開催 プラ資源循環、広域化など 多岐にわたる項目を説明‐ 環境省は8月4日、オンライン会議による「全国廃棄物・リサイクル行政主管課長会議」を開催した。廃棄物・リサイクル対策などについて、その現状や国の施策、方向性などについて全国の都道府県及び政令市の担当者に説明するとともに協力を要請するもの。会議は休憩を挟んで2時間半にわたり循環型社会、リサイクル、一般廃棄物、災害廃棄物、浄化槽、産業廃棄物、浄化槽関係など多岐にわたる項目について担当者がポイントを説明した。今回は新型コロナウイルス感染拡大を受けた環境省の対応についても触れた。

◆不法投棄 ‐支障除去に対する財政支援 基金残高減り枯渇の懸念も 幅広い出えんの仕組み検討‐ 「令和2年度支障除去等に対する支援に関する検討会」の第1回会合(Web会議)が8月5日開催された。産業廃棄物の不法投棄事案や不適正処理事案で、原因者が原状回復措置を取らずにやむを得ず都道府県が支障除去を行う場合、基金から支障除去に必要な費用を支援する制度がある。基金は産業界と国の負担で構成されており、産業界の負担については、5年ごとに点検するとしてマニフェスト頒布団体などの出えん方式としている。本年度が5年目にあたるため点検・評価を行う。また基金は産業界分の確保ができておらず、残高が目減りしており、基金の枯渇も懸念されることから、出えんの仕組みを検討する。

◆匿名インタビュー ‐再生フレーク暴落だが リサイクルの一大変革期 プラ問題で国内処理重視に‐ 先月号で再生PETフレークの価格が暴落しており、容リ協会の下期の入札価格が大きく下落する可能性がある。一部で逆有償になるのではとの観測も聞かれる――と書いた。逆有償を指摘する声はあったがこれは大げさ過ぎる。が、それほど市況はひどいということだ。再生フレーク価格の暴落は過去に数回あった。そのたびに容リの引取りが大混乱した。今回も同じような轍を踏んでいる。再生フレークの価格暴落は、新型コロナの影響と原油安によって引き起こされたとみるべきだが、状況はPETボトルリサイクルの一大変革期に差し掛かっているともいえるか。PETボトルに詳しいN氏に話を聞いた。

◆ズームイン ‐事業系一般廃棄物業界54 処理業者が行政に望むこと コロナ感染拡大再発で窮地‐ 安倍首相が5月25日に新型コロナウイルス感染拡大防止に関する緊急事態宣言の終了を発してから3カ月が経とうとしている。感染者数が減って「小康状態」を保ち、人も経済も再開の動きが出始めたと思ったら、再び感染者数が増加してきた。東京都では7月に入ってから激増。8月は7月を上回る。事業系ごみも6月、7月は前年より25%近く少なかったが、この状況だと8月はどうなるか。事業系一廃許可業者の苦境は、ごみの量から推し量ることができる。業者は行政に何を望んでいるのか。東廃協のアンケート調査からその一端がうかがえる。

◆読者からの声 バーゼル法の該非判断基準、いまひとつわからない。

◆時の話題 ‐一般廃棄物処理の新機軸24  減免ではなく支援が必要だ 減免は理屈が通らない‐ 新型コロナウイルス感染者が急増している。「第2波の真っただ中だ」という専門家もいる。加えてこの猛暑だ。商業店舗への客足は鈍い。事業系ごみの排出量も減少のままだ。こうしたことから一般廃棄物処理業者の経営は苦しい状況に置かれている。行政の代行として、また社会インフラを受け持っている仕事だけに、多くの業者からは行政に対して処理費の「減免・減額」を望む声が聞かれる。しかし、「排出事業者との関係を考えたら、減免・減額は理屈が通らない。減免ではなく支援が必要だ」という向きがいるのだ。どういうことなのか、以下、聞き書きに近い形で

◆視 点 ‐この業界は今後どうなる➈ 事例報告書に見る「ヒント」 ローカルSDGsの形成‐ 人口の減少は経済の縮小、国の縮小を意味する。買う人が減る。商品の生産・販売量が減る。ごみが減る。ということだ。企業は日本国内での成長は望めないとし、海外にマーケットを求めていく。ユニクロなどはそのいい例か。さらに日本の場合は少子高齢化が急速に進んでいる。働き手不足という問題が出ている。ごみ処理・リサイクル業界もこうした社会変化の影響を受けていく。ごみが減っていくことは大きなインパクトだ。他に事業を展開、進める必要があるだろう。環境省が出した「ローカルSDGsビジネスの事例集」は、業界は今後何ができるのかということの「ヒント」が詰まっているようにも思える。

◆故繊維 ‐競争入札への疑義➂ 入札に委ねる事業ではない 最高裁が指摘していること‐ 故繊維の処理は基本的に廃棄物の処理といえる。その域内から排出される一般廃棄物の処理は、廃棄物処理法にあるように市町村に処理責任がある。ところが何を勘違いしているのか、一般廃棄物でも有価で売却できるということから「競争入札」を取り入れ、少しでも高く売ろうという市町村が増えてきた。最高裁は平成26年1月28日に、一般廃棄物処理業は「自由競争に委ねられるべき性格の事業とは位置づけられていないものといえる」とする見解を出している。「自由競争」とは「入札」に置き換えることができるだろう。

◆廃プラ輸出 新型コロナ依然猛威、市況急速に悪化、6月は前年比2.6万t減

◆情報ファイル バーゼル法での輸出、平成31年度は10.4万t

◆リサイクルマーケット
鉄 ク ズ:発生落ち込み大きく、値上げ基調の展開
古  紙:回収量激減で継続難か集団回収岐路に
故 繊 維:ボロ記録的な少なさも業者は一息つく
容  器:マーケットの縮小、再生フレーク抗えず
カレット:銭湯でラムネを飲んで医療従事者応援
ニュース:あふの環プロジェクトメンバー活動開始 ほか

7月号 主な内容

 

トップページに戻る