2020年9月号 主な内容

特集 令和2年度容リの下期落札 PETボトル落札単価大暴落 平均で㎏あたり2円の衝撃 容器包装リサイクル制度に基づく令和2年度下期のPETボトル落札結果がこのほど、容リ協会から発表された。有償・逆有償あわせた落札平均は、なんと㎏あたり1.8円(有償)という信じられない値段だった。そればかりではない。逆有償の量が大きく膨らみ、逆有償の落札単価がそれも㎏200円とか300円といったどう解釈していいのかわからない数字も出ているのだ。今回の容リの落札単価について、PETボトルリサイクルの関係者の間からは不満や批判の声が上がっている。
有償での落札単価が高いところは㎏30円、35円とか出ている。逆有償価格が大きいところではマイナス200円、300円だ。極端な形になっている。逆有償価格についてあるPETボトルリサイクル関係者は次のように憤る。
「逆有償価格が㎏200円とか300円だなんて信じられない。モラルとか節度というものがないのか。これじゃ廃棄物処理費より高いじゃないか。廃棄物の中間処理でもこんな値段はしない。果たして200円とか300円をもらってリサイクルする意味があるのか」。
また、別の関係者は「逆有償の200円、300円という価格は本来あり得ないですよ。上期の落札分もまださばき切れていない。抱えているわけです。(新たにPETボトルを)引き受ける余地はない。で、入札が始まった。取れても取れなくてもいいやという価格が200円、300円という逆有償価格になっているんじゃないかな。いわゆるお断り価格ですよ。半ばヤケになって入れたのかもしれない」と話す。
こうした極端な事態を回避するために、容リ制度を改善することを目的に容リ協会はPETボトルのあり方検討会をはじめたわけだが、結論を出さないまま途中で切れてしまった。検討会は2年以上開かれていない。容リ協会もやる気がないようだ。この先も同じようなことが起きるだろう。「容リシステムは崩壊するところに来ていると思う」と指摘する声も聞かれる。

◆プラ戦略 ‐プラ循環戦略第5回 修正した方向性(案)を議論 次回から具体的施策に入る‐ 「プラスチック資源循環戦略」の第5回合同会議は9月1日、Web形式で開催された。今回は、前回の合同会議(7月21日)で出された「基本的方向性(案)」について委員から指摘された箇所を修正し、改めて示したものを議論した。「基本的方向性(案)」は今施策の『総論』にあたる部分。システムや制度設計など法的問題を含めた具体的な施策についての『各論』は次回以降から検討に入る。

◆循環型社会 ‐循環型社会部会 循環計画に新型コロナ追加 将来の一廃処理も議論‐ 環境省の中環審循環型社会部会(座長・酒井伸一京都大学環境科学センター長)は 9月8日、Web形式で会議を開催した。今回の会議の議題は、①第四次循環計画の第1回点検報告と、②地域循環共生圏を踏まえた将来の一般廃棄物処理のあり方――の2つについて。第四次循環計画ではその中に「廃棄物分野における新型コロナウイルス感染症への対応」という項目を新たに追加し、書き加えたことを環境省が説明。会議ではもっぱら新型コロナに関することと、人口減・高齢化が進む中での地域循環共生圏を踏まえた一廃の処理について議論が集まった。

◆再生資源 ‐本年1~7月の輸出状況 古紙後半は軟化気配濃厚 廃プラ前年下回る状態‐ 小誌は毎年、財務省通関統計の6月実績の発表を受けて、上期(1~6月)の再生資源輸出状況を掲載しているが、今年の場合は誌面の都合で入れられなかった。そこで、ひと月遅れたが1~7月の輸出状況を取りまとめて掲載したい。品目は古紙と廃プラ。古紙の現段階での輸出状況は、中国が積極的に買いに出ているため数量が伸びている。価格も数円上昇しているようだ。しかし、今年後半はその中国の動きによって軟調気配が濃厚。廃プラは毎月前年を下回る状態が続いている。さらに来年は1月にバーゼル条約の改正が発効される。影響が出てきそう。

◆ズームイン ‐事業系一般廃棄物業界55 処理手数料改定に係る要望書 東京廃棄物事協組が提出‐ 東京23区の事業系一般廃棄物の処理手数料(許可業者による収集運搬費+清掃工場への持込み処分費)は、1㎏あたり40円が上限と条例で定められている。処分費は15.5円/㎏なので、許可業者の収集運搬費は40円-15.5円=24.5円/㎏になる。この金額では許可業者の業務継続は苦しい。ましてや新型コロナの影響で事業系ごみの排出量は減少しているのでなおのことだ。一方、各区が収集している一般廃棄物のごみ処理費は59円/㎏となっている。この差をどう理解すればいいのか。東京廃棄物事業協同組合(東廃協)はこのほど、処理手数料額改定に係る要望書を東京23区清掃リサイクル主管課長会に提出した。

◆自治体 ‐プラ製容器包装の再資源化 東京都が区市町村を支援 事業に係る経費を補助‐ 東京都はプラ製容器包装の再資源化に向けて、域内区市町村を支援する。プラ容器包装の分別収集を新たに実施する自治体に対し、事業に係る経費の一部を補助する。また既に分別収集を実施している自治体についても、分別収集の向上に向けた取組を実施する際に要する経費を補助する。補助事業の期間は令和2年度から同6年度までの5年間で、都はそのための予算として令和2年度分は総額約1億1000万円を計上している。支援事業にはすでにいくつかの自治体が手を挙げているという。

◆時の話題 ‐一般廃棄物処理の新機軸25 なぜ支援制度がないのか コロナ禍での公の仕事の代行‐ 新型コロナの影響による経営の厳しさから事業系一廃処理業者が行政に対して、処理手数料の「減免」「減額」を求める声があちこちから聞こえている。減免について行政側と協議した業者団体もいくつかあったようだが、回答はいずれも「NO」。こうしたなかにあって、前号で触れたように「減免・減額では理屈が立たない。減免ではなく支援が必要」と指摘する向きがいるのだ。今回はそのつづき。

◆故繊維 ‐競争入札への疑義④ 判決文でも入札はそぐわず 処理安定なら既存業者に‐ 先月号では最高裁の判決文(平成26年1月28日第三小法廷判決)の一部分を抜き出し、一般廃棄物処理業は「自由競争に委ねられるべき性格の事業とは位置づけられていないものといえる」ので、一般廃棄物としての故繊維の処理も、競争入札(自由競争)に委ねられるべき性格の事業ではないと書いた。最高裁の判決文はこれに限らず、一般廃棄物処理に入札はそぐわないと思わせる考え方がいくつか示されている。今回それを記してこの項を終わりとしたい。

◆ガイドライン ‐廃棄物に関する新型コロナウイルス感染症ガイドライン‐ 環境省はこの9月、「廃棄物に関する新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン」を策定した。これまで廃棄物処理における新型コロナウイルス対策については、本年1月、3月にも出されているが、今般新たに策定した。廃棄物処理業者のみならず、排出者や地方公共団体をはじめとする関係主体も対象に含めたうえで、排出時の感染防止策、適正な処理のために講ずべき対策、処理体制の維持のために取るべき措置などについて取りまとめた。9月7日、資源循環局長名で各都道府県・政令市に向け通知が出された

◆読者からの声 事業系一廃業者は今後、体力勝負になるのか。

◆データ ‐令和元年度の23区のごみ量 277万tで1.2万tの増加 長期に減少、今年度は特に‐ 東京23区清掃一部事務組合はこのほど、令和元年度の「東京23区のごみ量」及び「23区の資源回収量の状況」を発表した。ごみ量は約277万トンで前年度比1万2000トンの増加。また資源回収量も6000トンの増加となった。ごみ量・資源回収量ともに前年比で増加したが、長いレンジでみると少しずつ減少している。とりわけ令和2年度のごみ量はコロナの影響により3~8月は前年同期比7%の落ち込みとなっている。このまま行くと、かつてない減少になりそうだ。

◆廃プラ輸出 経済に動きの気配か 輸出減少幅縮まる 5,6月が底か

◆情報ファイル 環境省がごみ出し支援モデル事業の公募

◆リサイクルマーケット
鉄 ク ズ:アジアから引き合い強い輸出価格上昇
古  紙:中国駆け込み需要も11月から輸入規制?
故 繊 維:墨田区が取組み進める羽毛布団のR
廃 プ ラ:該非判断基準、廃プラ輸出に変化も
カレット:新宿中村屋と共同でガラスびん商品提供
ニュース:プラ持続可能な利用、花王が都のモデル事業 ほか

8月号 主な内容

 

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