2020年12月号 主な内容

特集 事業系一廃、リサイクル等 コロナ禍のこの業界の一年 ロックダウンで流れ止まる
今年は新型コロナウイルスの感染拡大に翻弄された一年だった。海外では感染拡大を食い止めるために「ロックダウン」(封鎖)が行われた。日本でも当時の安倍総理が「緊急事態宣言」を発令したり、飲食店に対する「営業自粛要請」を求めるなど対策を実施したがこれらの措置は、人の移動が制限されるということではロックダウンに近いといえるのではないか。ヒト・モノが止まった。それによってすべての業界が大きな影響、打撃を受けた。事業系一廃処理業界、リサイクル業界はどうだったのか今年一年を振り返ってみる。 「緊急事態宣言」「営業時短縮」、そして「第3波」で、東京都の場合は来年1月11日までの「営業時短要請」、同時に政府の「GO TO トラベル」の一時停止と、次から次と押し寄せている。飲食店、カラオケ、バー、スナック、ホテル、イベント会場……年末年始の時期だけに大打撃だ。 前ページに東京23区の清掃工場へのごみの搬入量のデータを載せた。このデータから社会の動きがわかってくる。8月まで毎月、前年同月を上回っていた家庭系ごみは、9月、10月と前年を割り込んだ。会社に出社せず家で仕事をする「リモートワーク」が減ってきたのだ。しかし11月のごみ量はまた増えはじめた。コロナ第3波の影響で再びリモートワークが増えてきたようだ。事業系ごみの持込み量は、9月から減少幅が縮小してきた。人の動きが活発化してきたからだろう。2割減ぐらいで落ち着いてきたようだが、11月から悪化しそうだ。では業者の現況はどうなのか。はっきりいって……

◆総合政策 ‐第五次環境基本計画の点検 多数の委員から辛口の意見 今後のあり方に一石を投じる‐ 環境省の中央環境審議会総合政策部会(部会長・武内和彦地球環境戦略研究機関理事長)は12月1日、「第五次環境基本計画の点検」および「ウィズコロナ・ポストコロナでの持続可能でレジリエント(強靭)な地域づくりについて」を議題にWeb会議を開催した。第五次環境基本計画の点検では多数の委員から辛口の意見が続出。今後の点検のあり方に一石を投じる結果となった。またウィズコロナ・ポストコロナでの持続可能な地域づくりについても多くの厳しい意見が聞かれた。

◆意見交換 ‐全清連、環境省と意見交換 中・長期の一廃処理業の課題 広域化や非接触型収集など‐ (一社)全国清掃事業連合会(全清連・三井弘樹会長)は10月21日、衆議院第一議員会館で環境省環境再生・資源循環局と「中・長期における一般廃棄物処理事業が直面する課題」をメインテーマに意見を交わした。10月7日に行われた全清連と地域廃棄物適正処理推進議員連盟との要望懇談会で提示された事項のひとつ、「家庭ごみ触らず収集」に関しての環境省との意見交換が途中で時間切れとなったため、改めて開催されたもの。

◆セミナー ‐都がオンラインセミナー 「2Rビジネスの新展開」 日本での事例紹介-  東京都は11月27日、「2Rビジネスの新展開」と題してオンラインセミナーを開催した。都は「ゼロエミッション東京」を掲げ2050年にCO2排出量ゼロに向けての取組みを進めている。なかでも3Rの特にリデュースとリユースは重要で、世界ではリユースの新しいビジネスが誕生している。セミナーでは日本でのリユースビジネスがいま、どのようになっているのかをいくつかの事例報告で紹介している。

◆提 言 ‐経団連が提言を発表 2050カーボンニュートラル 不退転の決意で取り組む‐ 日本経済団体連合会(経団連)は12月7日、「2050カーボンニュートラル実現に向けて」と題する提言を発表した。菅総理が10月26日の国会の所信表明演説で、2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指す考えを掲げたことを受けてのもので、産業界としてもこれを高く評価するとともに「政府と共に不退転の決意で取り組む」「経済界として大きな覚悟をもって先駆的な役割を果たしていく」と意気込む。提言では「課題と経済界の役割」「イノベーションの創出」など6項目について記している。

◆時の話題 ‐一般廃棄物処理の新機軸28 コロナ第3波で再びダメージ 処理代半減も人件費かかる‐ 新型コロナ感染拡大の第3波が日本列島を襲っている。感染者のグラフ推移を見ると春の第1波、夏の第2波をはるかに上回る感染者数だ。北海道、東京、愛知、そして大阪の感染者増加が目立つが、都市部だけでなく全国的に広がりを見せているのが今回の特徴か。おそらく例の「GO TO トラベル」によって人の移動が激増し、感染が四方八方に拡大してしまったのだろう。ここにきて政府は「GO TO トラベル」の一時停止を打ち出した。人の移動が止まる。経済活動が縮小する。事業系ごみの発生も再び減少し、許可業者の経営もダメージを受ける。

◆遺品整理 ‐遺品整理についての概要① 不動産会社を介して依頼 一人暮らしの高齢者の実例‐ 「建物の解体のことで相談があるのだが」。廃棄物関係者の方からこんな連絡をいただいたのは今年の2月。解体のことなら小誌よりそちらの方が……。と思ったが、もう少し話を聞くと、大手建築会社から法律に則った形で解体して、残置物の処理や遺品整理なども含めて知りたいという要望が来ているという。法に則ってとなるとすごく厄介なことになる。というよりこれは法を遵守して実施するのは実質的に不可能ではとも思ったので書くのをためらっていた。が、ざっくりした形ならいいかということで進め残置物処理の件は6月号で何とか終えた。今回からは残る遺品整理実施の件。概要になるが少し触れる。

◆ズームイン ‐事業系一般廃棄物業界58 上限価格撤廃で良くなるのか それでも価格競争は起きる‐ 東京23区の場合、事業系一廃の処理料金に「上限」価格を設定している。前号で触れたが、この上限価格は「条例」で定められているもので、「法律」では上限価格を設けなければならないとは記されていない。実際、東京近辺の政令市では「さいたま市」「横浜市」「川崎市」などは上限価格を設定していない。では、上限価格を設定していないこれらの都市で、許可業者が満足できる処理料金を排出事業者からもらえているのか、というとそうでもない。やはり価格競争は起きるのだ。

◆報告会 ‐3R推進団体連絡会 リサイクル率は目標値水準 2019年度8団体の実績‐ 容器包装の3Rを推進するガラスびん業界など8団体で構成する3R推進団体連絡会は12月10日、千代田区の経団連会館で記者説明会を開き、「容器包装3Rのための自主行動計画2020」の4年目にあたる2019年度実績のフォローアップの報告を行った。素材別のリデュース率(軽量化)が前年度と比べて上昇したのはガラスびんなど3素材、またリサイクル率で前年度実績を上回ったのはPETボトルなど4素材で、リサイクル率・回収率は概ね2020年度の目標値水準といえる。

◆読者からの声 緊急事態宣言の再発令で一廃業者などから連絡は? という問い合わせ

◆再商品化事業者 ‐令和3年度の容リ協登録再生事業者‐ 日本容器包装リサイクル協会(容リ協)はこのほど令和3年度(2021年度)の「登録再生処理事業者」を発表した。前年度に比べ全素材合計で3事業者減り194社となった。

◆廃プラ輸出 9月に続き10月も前年同月を上回る

◆情報ファイル プラR冴えない状況、バージン材価格下落で

◆リサイクルマーケット
鉄 ク ズ:スクラップ価格高騰トン4万円に近づく
古  紙:年末年始、一挙に下げ模様。在庫膨らむ
故 繊 維:スーツ需要落ち込み業界の対応難しく
容  器:飲料容器業界の社会貢献と自治体の言葉
カレット:びんカレットの状況コロナで発生元に濃淡
ニュース:プラ資源循環施策案について意見募集 ほか

11月号 主な内容

 

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