2023年6月号 主な内容

特集 地域脱炭素の実行計画 地方公共団体等のヒアリング 先進的な団体で参考になる
環境省の「地域脱炭素を推進するための地方公共団体実行計画制度等に関する検討会」の第2回会合が5月26日行われた。自治体は地域脱炭素のための「脱炭素促進区域」を設定することになるわけだが、様々な事情により手つかずの自治体も多いようだ。今回ヒアリングで報告した公共団体は、先進的なところばかりといえようが、どのようにして「地域脱炭素促進事業」を進めて設定できたのか、その方法(やり方)は参考になる部分が多い。
 当日ヒアリングで説明した自治体は、「北海道せたな町」「岩手県宮古市」「神奈川県小田原市」「熊本県」の4団体。その中から小田原市と熊本県の2団体の取組みを中心として取り上げる。
 小田原市(人口18万6800)は、温室効果ガスの削減目標を国が目標とする2030年度46%削減を上回る50%削減と設定した。その施策のひとつに再生可能エネルギーの導入促進を挙げた、具体的取組みとして「地域脱炭素化促進事業の促進」を位置づける。目標は市内の再エネ導入量を2019年度の34千kWの5倍に相当する150千kW。再エネの導入促進は「屋根を中心に太陽光発電設備の設置を進めていく、市街化区域全体を促進区域としている」(小田原市)。
 熊本県は「陸上風力発電」および「地上設置型太陽光発電」の立地ゾーニング調査について説明した。風力発電は風況が良い地域を、地上設置型太陽光発電は県内全域を対象にゾーニング調査を実施した。県におけるゾーニング調査は、改正地球温対法で設けられた「促進区域」を市町村が設定することを目的に行なうものだ。ゾーニングは広域的な解析が必要だが、「再エネ設置立地の適地誘致」を重点的に掲げる。県が広域自治体として市町村間の調整を求められることが多いと考えられるなどの理由から行った。つまり県が主体的に調査を実施し、市町村の取組みを後押しする形だ。 
 小田原市からは環境省のこの検討会が示した論点についてかなり多くの意見が提出された。裏を返せばこの制度はそれだけ課題が多く、見直すべきところが多いということだろう。小田原市が述べた意見からひとつあげると……

◆環境政策 西村環境大臣から諮問 第六次環境計画の審議始まる 新たな方向性定める 環境省の中央環境審議会政策部会(高村ゆかり部会長)は5月29日、会合をひらき西村環境大臣から諮問された環境基本計画の見直しについて審議をはじめた。実質的に第六次環境計画についての検討ということだ。1年かけて審議していく。最終的には閣議決定となり、政府全体で共有のものとして5~6年間の道しるべとなる。今の第五次計画に加えて新たな方向性を定めていく。

◆循環型社会 中環審循環型社会部会 動静脈連携による資源循環 環境・経済省合同で取り組む 環境省の中環審循環型社会部会(酒井伸一部会長)は6月5日、リモートによる会合を開催した。議題は「廃棄物処理法に基づく基本方針の変更案」とそれに対する意見募集結果報告などを含め多くの議題が審議項目として上げられた。この中で特徴的だったのは……

◆時の話題 一般廃棄物処理の新機軸52 新しいシステムへの踏み出し 都内23区の処理料金 東京23区の場合、料金改定は4年に1回のペースで実施されてきたようだが小誌はそれについて異議を唱えてきた。物・サービス・エネルギーすべての価格が急激に値上がりしている時代にあって、処理手数料は行政の規定によって動かせない。何年もじっと我慢しなければならない。処理業者は疲弊していく一方だ。処理手数料は時代の状況により改定していく必要があるのではないか。こうしたことを以前書いたのだが、それが……

◆ズームイン 東京23区の事業系一廃(その12)  仕事の交換は可能なのか 再委託
だと廃掃法に抵触 東京23区は車が混んでおり交通事情がわるい。そのためお客(排出事
業者)がかなり遠くにあった場合、収集運搬にかなりの時間を要する。ドライバーの労働時
間が長くなる。それを解消するには、こちらから向こうの遠くのエリアに収集行く業者と、
向こうからこちらのエリアに収集に来る業者との仕事の交換よっての解決が考えられるが
では実際どうやるか。再委託だと一廃の場合は廃掃法に抵触……

◆スポット 再生資源業者からの指摘 行政にも立場があるだろう 価格だけの入札制
度だが 市町村の再生資源入札は価格のみで決まってしまうため、地場の故繊維専業者が
落札できないケースがあり、それが業者数減少を招き、結果として業界の衰退が顕著になっ
ている。行政も入札制度を考えた方がいいのではないか……。こうしたことを前号で記した
ところ、ある関係者からこんな指摘をいただいた。「市民が分別回収に出した資源物をでき
るだけ高く売却したい……

◆データ 令和3年度の食品ロス量 523万tで前年比1万t増 事業系が増加 令和3年度(2021)の食品ロス量は523万トンとなった。家庭系は3万トン減少、事業系は4万トン増加となり全体では前年度比1万トン(0.2%)の増加。環境省と農水省がこのほど公表した

◆総会 △全産連第13回定時総会・収支改善策に引続き取り組む・紙マニフェストに駆込み需要△日本RPF工業会第11回定時総会・会員増加により理事数を増員・定款変更し活動が活発化

◆情報ファイル 令和3年度の産廃処理施設の設置等の状況/小田急電鉄が排出事業者向けサービス「WOOMS Cnnect」を始動

◆廃プラ輸出 当分は60円台で推移か。原油価格落ち着いた動き。4月の輸出量4.8万t

◆リサイクルマーケット
鉄 ク ズ 鉄スクラップ市況上昇下落交錯し流動的
古  紙 パッとしない商況輸出価格も下落気味
故 繊 維 使用済み衣類回収システムモデル募集
容  器 BtoBに向け自治体が締結容リへの影響
カレット 使用済み太陽光パネル廃ガラスに注目
ニュース 太陽光パネルリサイクル都が処理施設指定 ほか

5月号 主な内容

 

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