2023年8月号 主な内容

特集 2023年上期の再生資源輸出 古紙、廃プラの価格が急落 影を落とす中国経済の減速
 財務省通関統計が本年6月の日本からの貿易輸出を発表したことで、再生資源の上期(1-6月)の輸出データがまとまった。2020年から発生した新型コロナウイルス感染症拡大が、少し下火になってきたかと思ったら、22年2月にはロシアのウクライナ侵略が勃発した。中国は22年12月に「ゼロコロナ政策」大幅に緩和したものの経済が悪化し、とくに不動産・建設関係は泥沼状態だ。こうした情勢に日本からの再生資源の輸出も影響を受けている。本年上期の輸出動向は、古紙、廃プラに価格の急落が見える。
 今年上期の古紙輸出量は110万トンで、前年同期約1割多い。その反面価格は15%ほど少ない。量は増えたが価格は減少だ。段ボール古紙の今年6月の輸出価格は㎏19.2円と最高値から約1年で12円もの急落をみている。国内メーカーの購入価格は㎏18円とされているが、「国内価格を下回った」との問屋筋の声も聞かれる。中国経済の減速が響いている。
不動産大手の「恒大」が米国で破産法を申請した。不動産・建設関係が想像を超えて悪化している。高層マンションなど工期途中でストップしている物件もかなり多いという。建設工事がストップ状態なためそれに関する消費が全く動かない。パッケージである段ボール箱も需要が落ちるというものだ。
 古紙と同様に今年上期の廃プラも価格は下落傾向にある。ブラ全体の輸出量は毎月4万~5万トンといったところで、少しずつジワジワ減っているような状況だ。価格も値下がりが見える。全体の平均単価は今年6月が㎏61.8円だった。昨年の6月は71.4円なので9.6円、約10円近い値下りだ。 PETフレークの輸出値は一時騰勢を強めた。とくに台湾向けの価格がかなり高かった。昨年5月から㎏90円をつけていたPETフレークは、その後も…

◆システム構築 静脈産業の脱炭素型資源循環 資源循環とCN一体的取組み 小委員会立上げ検討開始 環境省は「静脈産業の脱炭素型循環システム構築に係る小委員会」(酒井伸一委員長)を立ち上げ、7月28日に第1回会合を開いた。2050年CN(カーボンニュートラル)に向けた取組みがあらゆる分野で進められており、資源循環についてもCNを同時に進めていくことが重要な課題となっている……

◆循環型社会 中環審循環型社会部会 基本計画策定の指針(案) 循環型社会と循環経済の社会 環境省の循環型社会部会(酒井伸一部会長)は8月2日、部会を開催し、関係者からのヒアリングを行ったのち、事務局が提示した次期循環基本計画(第五次計画)策定のための具体的な指針案について検討した。新たに盛り込むのは「循環経済」(サーキュラーエコノミー)。欧州から……

◆環境政策 第六次環境計画に向けて 中間とりまとめ(案)の検討に 委員から低評価の意見続出 第六次環境計画に向けて検討を続けている環境省の中央環境審議会総合政策部会(高村ゆかり座長)は、8月2日の会合で「中間とりまとめ(案)」の議論に入った。部会でのヒアリングを含めたこれまでの意見などを参考に事務局が示した(案)について出席したほとんどの委員からは、「危機意識が足りない」「現状認識が甘い」といった意見が相次いだ。環境省の委員会で委員からこれほどまでに……

◆脱炭素 地域脱炭素実行計画検討会 取りまとめ(案)議論し終了 制度の変更も視野に 本年4月27日開催が初回だった「地域脱炭素を推進するための地方公共団体実行計画制度等に関する検討会」は、8月18日の第5回開催で事務局から示された「取りまとめ(案)」を議論して事実上終了した。2050年CNをめざし、GX実現に向けた基本方針では、温対法を活用した地域主導の再エネ導入などが位置付けられた。検討会では……。

◆ズームイン 東京23区の事業系一廃(その14)  清掃一組の大いなる勘違い 不適正混入の責は業者にない 小誌7月号で書いたが、東京23区の焼却施設の管理・運営を行っている「東京23区清掃一部事務組合」(清掃一組)は、事業系一般処理業者が持込むごみについてこれまでにない厳しい検査を行っている。しかし清掃一組が処理業者に、「不適正物を持込むな」と業者を締め上げるのはお門違いも甚だしい。不適正物が混入しないようにするのは排出事業者の責任で、それを指導するのは行政としての23区のやるべき仕事だ。清掃一組は大きな勘違いを……

◆オブジェクション 管理会社を考える21 ある処理業者の行政処分 管理会社の仕事を請けていた 管理会社の仕事を請けていた都内の一般廃棄物許可業者が9月1日から30日間の収集運搬業務停止命令という行政処分を受けた。入ってくる情報を整理していくと、処分を受けたことの原因は管理会社にもある、というよりはむしろ、管理会社に多分にあるようだ。情報をつかんだのが8月号責了寸前でタイミングがわるかった。なので詳しいことは来月号で……

◆VIDEO  東京廃棄物事業協同組合 廃棄物処理基本作業 マニュアルの動画版が完成 東京廃棄物事業協同組合(東廃協・豊城勇一理事長)は、先に従業員の教育に活用する「廃棄物処理の基本作業マニュアル」(A4版・56ページ・オールカラー)を作成したところ、これがかなりの好評を博し地方の組合や自治体などから問い合わせが殺到、現在増刷にかかっている状態だ。ただ、今の時代活字が苦手な人もいて、従業員に手渡しても十分な活用に至らないケースもあった。そこで、動画を見て理解できる「作業マニュアルの解説動画版」の作成にとりかかり、このほど完成した

◆公募採択 令和5年度プラ資源循環 環境省、モデル事業公募結果 市区町村事業10件など採択 環境省は、本年6月2日から1カ月の期間、市町村などに「プラスチックの資源循環に関する先進的モデル形成支援事業」の公募を行なった結果、①市町村によるプラ使用製品廃棄物の分別収集・リサイクル10件、②地方公共団体が製造事業者等と連携して実施する使用済みプラ使用製品の自主回収・リサイクル2件を採択した。

◆topic 座間市とコカ・コーラが連携 自販機RB撤去の実証実験 市民の分別意識向上など検証 自動販売機の横に設置されているリサイクルボックス(RB)。飲み終わった空容器を投入するために置かれているのだが、空容器以外の異物が投入されているケースが多々あり、その周辺には様々なごみが捨てられている光景も。そのため神奈川県座間市とコカ・コーラボトラーズジャパンはこのほど連携して、市内入谷西地区のRBを撤去し、代替として市の清掃行政の拠点であるクリーンセンター(入谷西2丁目)に分別できるリサイクルボックス「エコステーション」を設置した。これにより自販機付近の公衆衛生状況や市民の分別行動の変化を検証する

◆リユース 使用済み製品等のリユース 環境省が3自治体の事業を採択 環境省は、リユース関連事業者や市民団体等と連携した先進的なリユース施策を実施しようとする地方公共団体への支援を目的に、使用済み製品等の適正なリユースの推進に資する取組みを公募してきたがこのほど神奈川県座間市など3件の事業を採択した

◆情報ファイル ドラッグストア店頭回収プラ 「買い物かご」を製作

◆廃プラ輸出 6月は価格が下落気味 ポリスチやPETなど 輸出量は5.2万t

◆リサイクルマーケット                        
鉄 ク ズ 夏季炉休などで模様眺め輸出値変わらず
古  紙 人口推計から将来の古紙回収量を予測した
故 繊 維 跋扈するブローカー原料確保し主導権握る
容  器 リターナブルびんの減少、底を脱したのか
カレット びんはあるがままの形で収集運搬が理想
ニュース 農水省が募集サステナブルな取組動画 ほか    
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白井徹氏「お別れの会」

7月号 主な内容

 

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